打ち上げから1年、太陽に最も近い探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が明らかにする太陽風

宇宙
Credits: NASA/Johns Hopkins APL/Steve Gribben

NASAの太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」は8月12日でミッション開始丸1周年を迎えました。

これまでで最も太陽に接近した探査機として知られるパーカー・ソーラー・プローブは、1950年代に太陽研究の新しい分野である太陽物理学を確立した物理学者ユージン・パーカー氏の名を冠して作られました。

パーカー氏は太陽系の大部分に存在する太陽から噴き出す粒子の流れである「太陽風」について理論化した最初の人物です。

パーカー・ソーラー・プローブは7年間のミッションで金星フライバイを7回行い、徐々に太陽との距離を縮め多くのデータを収集する予定です。

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パーカー・ソーラー・プローブが1年間で収集したデータは想定以上

 

地球がこの1年で1回だけ太陽の周りを周っているうちにパーカー・ソーラー・プローブは既に2回太陽を周回し、科学者たちが考えていたよりも多くのデータを収集しました。

NASAの太陽物理学部長であるニッキー・フォックス氏は、パーカー・ソーラー・プローブのこの1年間の成果について「とても幸せだ」と語ります。

 

最初の2つの近日点通過から得られると考えていたデータの、少なくとも2倍のデータを得ることができました。

 

パーカー・ソーラー・プローブには太陽に関するデータを集めるための4つの機器が搭載されています。

 

FIELDS――周囲の電場と磁場、プラズマ密度、探査機の電子温度や密度の変動などを測定します。

WISPR――太陽コロナと太陽風、その他太陽の周囲を撮影します。

SWEAP――太陽風の粒子である、電子、陽子、ヘリウムイオンをカウントし、その速度、密度、温度などを測定します。

ISOIS――太陽の大気と、太陽圏内で高エネルギーに加速される電子や陽子、重イオンを観測し、それらを太陽風やコロナ構造と関連づけます。

 

パーカー・ソーラー・プローブが昨年の11月6日から10日までの間に最も太陽に接近した際、WISPRは世界で最初となる太陽風の撮影を成し遂げました。

 

WISPRのデータを合成し見やすく処理したもの。左端が太陽、明るい点は水星、右上の星が密集している部分は天の川銀河 Image Credit:NASA

 

左端に見える太陽が筋状の太陽風を宇宙全体に放出しているのが確認できます。

画像は太陽風を神秘的に見せていますが、科学者たちが太陽風を研究する理由はそれが地球の環境にとって脅威になる場合があるからです。

太陽風は時速100万マイルで宇宙を通過し、その接近度合いによっては地球上にある送電網を狂わせたり、高い放射線によって航空機や宇宙飛行士、衛星本体などに悪影響を与えるおそれがあります。

米国科学アカデミーによる調査では、太陽風の影響によってアメリカでは2兆ドルの損害が発生し、1年にわたって電力が供給されなくなる可能性があると推定されています。

 

現在ミッションチームは得られたデータを分析中で、詳細に関しては2019年中に一般公開されるということです。

 

 

 


 

パーカー・ソーラー・プローブが1年間のミッションで得たデータは科学者たちの要求以上のもので、これまでにわかっていなかった太陽の構造やプロセスについて多くの理解をもたらす結果となりました。

ジョンズホプキンス大学の応用物理研究所の科学者であるNour Raouafi氏は、パーカー・ソーラー・プローブがもたらしたデータが見たこともない太陽の詳細を明らかにしたと語り、危険な環境である太陽の近くを飛行する探査機を高く評価しました。

また名前の由来となったユージン氏も探査機からのデータに「わぉ!としか言えない」としつつも「この先にまだ驚くべきことがあったとしても私は驚かないだろう」と語っています。

 

パーカー・ソーラー・プローブは地球と人類を太陽風から救うため今後も太陽に接近し続けます。

 

 

 

References:NASA,CNN

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