NASAは現在開発中の次世代宇宙望遠鏡の名前を、2018年に亡くなった女性科学者の名前をとり、「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡 (Nancy Grace Roman Space Telescope)」にすると発表しました。
1925年にテネシー州で生まれたナンシー・グレース・ローマン博士は、1959年からNASAで仕事を始め、女性科学者であることの困難と闘いながら、1966年から1972年の間に4つの宇宙望遠鏡を打ち上げる計画を主導しました。
この打ち上げの経験は後のハッブル宇宙望遠鏡へと生かされ、彼女は「ハッブルの母」というニックネームで呼ばれるようになりました。
ローマン博士はNASAの初代天文学長も務めました。
NASAのゴダード宇宙飛行センターでのローマン博士:1970年代の写真 (Credits: NASA)
これまで広視野赤外線サーベイ望遠鏡(WFIRST)の名で開発が進められてきたローマン望遠鏡について、NASAのジム・ブライデンスタイン局長は、「NASAが天体物理学の先駆者となり、世界で最も強力で生産的なハッブル宇宙望遠鏡を打ち上げられたのは、ナンシー・グレース・ローマン博士のビジョンとリーダーシップのおかげだ」と称賛し、彼女の名前ほど次の望遠鏡の名にふさわしいものはないと語りました。
またハッブル宇宙望遠鏡とローマン宇宙望遠鏡でNASAと仕事をした、元上院議員のバーバラ・ミクルスキ氏は、「女性参政権100周年を祝うにあたり、NASAがハッブルの母であるナンシー・ローマン博士の名を新しい望遠鏡の名前にしたのは素晴らしいことだ」と述べ、これは科学における女性の驚くべき業績を認めたものだと強調しました。
WFIRST改めナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡は、2020年代半ばの打ち上げを目標に開発が進められています。
搭載される主鏡は直径2.4メートルでハッブルと同じサイズですが、100倍の視野を持ち、少ない時間でより多くの空を観測できる設計となっています。
ローマン宇宙望遠鏡はダークエネルギーと太陽系外惑星を探索します。
ハッブルの100倍の視野でどんな星が見つかるのか楽しみだね
ダークエネルギーの正体についても何かわかるかもしれないな
References: NASA