Xboxのフィル・スペンサー氏が、英国紙ガーディアンのインタビューに応じ、先日ローンチを果たしたXbox Series X/Sや、ゲーム事業について語っています。
マイクロソフトのXbox Series X/SとソニーのPlayStation 5は、過去のどのコンソールよりも強力なマシンで、ロード時間の短縮やレイトレーシングなど、ゲームを次世代に運ぶテクノロジーで満ち溢れています。
一方でゲームを取り巻く環境は前世代が登場した2013年以降大きく様変わりしており、数年ごとに新しいコンソールを購入するという従来の慣習が今後も続いていくかは未知数です。
マイクロソフトはXbox Oneの失敗を早々に認めた後、コンソールに限定されないゲームのあり方を模索してきました。
月額サービスであるXbox Game Passでは毎月100タイトル以上が提供され、その多くはPCやxCloudを介したストリーミングでも遊ぶことができます。
スペンサー氏はGame Passの利点として、1500万人のプレイヤーや、リスクのあるタイトルを出せる点などを挙げています。
例えば今年発売されたエピソード形式のアドベンチャーゲーム「Tell Me Why」は、従来の小売りモデルでは世に出なかった可能性があります。
スペンサー氏は、「これらのストーリー主導のゲームが多く作られることはなく、正直なところGame Passがなければ、Tell Me Whyに光はあたらなかった」と述べ、また14年ぶりの新作として話題を呼んだ「Flight Simulator」についても、「Game Passが成長していなければゴーサインが出ないタイトルだ」と説明しています。
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前世代であるXbox Oneの販売台数は、ソニーのPlayStation 4に大きく水をあけられました。
マイクロソフトは1年前に販売台数の公開を停止しているため実数は不明ですが、アナリストはXbox Oneのこれまでの販売台数を、1億台以上売れたPS4の半分未満であると推定しています。
スペンサー氏は販売台数の公開を停止したことを謝罪したうえで、その理由について、「見ているのはプレイヤー数と彼らがプレイする頻度であり、チームが販売台数に集中するのは望んでいない」と述べています。
また今後Xbox Series X/Sの販売台数がPS5を上回ったとしても「それを公開することはない」と断言しています。
これまで世代の勝者はコンソールの販売台数によって決まりました。
しかしゲームの遊ばれ方が変化している現在、コンソールはかつてほど重要視されなくなってきています。
スペンサー氏は、「ゲーム機を最も多く販売したのは誰か、という基準でソニーと戦おうとする人々は、現代のゲームが何を意味するのかという文脈を失っている」と指摘し、「現在地球上には30億人のゲームプレイヤーがいるが、ゲーム機を持っているのはそのうちの2億世帯であり、市場全体に占めるコンソールの割合はますます小さくなっている」と述べています。
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最近になってAmazon、Google、Facebookなどの資金力のあるIT企業がゲーム業界に参入しています。
しかしその滑り出しは順風満帆とは言えません。
GoogleのゲームストリーミングサービスであるStadiaは今のところ低調であり、Amazon Game Studiosは開発中のタイトルを白紙に戻しました。
スペンサー氏は、「非常に資金の豊富なハイテク企業が参入し、ゲーム業界をあちこちに動かした後、消えてしまう可能性がある」と述べ、新しいプレイヤーが加わることに対して慎重な見方を示しました。
一方でソニーや任天堂については、何十年もゲームビジネスに携わっている点を指摘し、「我々は彼らと狂ったように競争するつもりだ」と意気込みをみせています。
スペンサー氏は、マイクロソフトがゲーム業界に留まり続ける理由について、「ゲームをより良くしたいからだ」と述べています。
Source: The Guardian