最後にCDやDVDを購入した日を覚えていますか。
ほとんどの人にとってそれは遠い遠い昔のことです。
現代社会ではあらゆるものがデジタル化しています。
ゲームもまた例外ではありません。
ゲームパッケージを扱う小売店の数は減り続け、最新作でさえダウンロードで購入するというユーザーも増えてきました。
近い将来全てのゲームがダウンロードになると予想されているなか、Googleはゲームストリーミングサービス「Stadia」を開始します。
Stadiaは高価なコンソールや周辺機器を必要とせず、描画から複雑な計算に至る全てをデータセンターで処理します。ユーザーに必要なのはGoogle ChromeとPCやスマホなどのデバイスだけです。
Stadiaの試みは、物理的メディアからデジタルダウンロードへの移行に踏みとどまらず、さらにその先にあるストリーミングでゲームを快適にプレイさせようとするものです。
この革新的なサービスが、プレイヤーにどう受け止められるのかはまだわかりません。
Stadiaの目指すストリーミング体験の未来
Googleの副社長であるフィル・ハリソン氏は、Stadiaが目指す目的地が間違っているとは思わないと強調します。
これについて考えているのは私たちだけではありません。しかしこれが進むべき方向であり、ゲーム業界はこの種のストリーミング体験の未来になると感じています。
ハリソン氏は、ストリーミングに興味を持っているのがGoogleだけではなく、またこれが特段革新的であるとも思っていないと述べます。
その理由として、音楽やテレビ、映画などの業種で過去に起こったこと――つまり物理メディアからデジタルへの移行を挙げ、ゲーム業界でそれが起こるのも時間の問題だという認識を示しています。
ⒸGoogle Stadia
StadiaはNetflixのように月額料金を払えば全てのゲームが遊べるわけではなく、あくまでクラウドを介したストリーミングサービスに対価を支払うものです。
そのため“新しい技術を使ったゲームプレイ”という点を除けば、ライバル企業でもあるソニーやマイクロソフトが行っている月額サービスに比べ見劣りするという意見もあります。
しかしハリソン氏はStadiaを、Googleのデータセンターと15年以上のインターネットの革新という歴史の中で構築されたものだと話し、その成功に絶対の自信を見せています。
同氏はStadiaの一番の特徴として、最新のPCやグラフィックカードを購入する必要がないことを挙げ、ゲーマーは財布に優しいという利点をStadiaに見出すだろうと主張しました。
また従来のゲームに付きまとっていた、インストール作業や最新パッチの導入といった煩わしい作業から解放されることも重要な点であると述べています。
ハリソン氏はこうした、“ゲームにまつわるナンセンス”が消え去ることがStadiaの魅力であると話しています。
Stadiaでプレイできる全てのゲームはGoogleのデータセンターで処理されるので、プレイヤー側に必要なのは、入力装置としてのPCやモバイル、そしてGoogle Chromeの2点だけです。
高価なグラフィックカードを買わずとも最新のゲームを負荷なく遊べるとしたら、それはユーザーにとって大きな魅力になります。
しかし同じクラウドを使ったサービス「Project xCloud」を発表しているマイクロソフトのフィル・スペンサー氏は、ゲームのストリーミングサービスが一般的になるにはまだ時間がかかるだろうと述べます。
私たち全員がテスト段階にあります。この技術は初期段階にあり、主流になるには何年もかかるだろうと感じています。
スペンサー氏は、現時点でゲームをするのに最適な場所は、ローカルデバイス――つまりテレビに接続されたゲーム機(スペンサー氏によればXbox)であり、それは長年にわたり当てはまってきたものだと話しています。
CDやDVDで起きたことは、遅かれ早かれゲーム業界でも起こるはずです。
それがStadiaの登場によって加速していくのかは、蓋を開けてみなければわかりません。
Google Stadiaは2019年11月19日から、特定の国と地域を対象にサービスがスタートします。(日本は残念ながら対象外です)
ゲームの新しい未来は既にやってきているのでしょうか。
Stadiaの動向に注目です。
References:BBC