世界的なプラスチック削減の動きは小売業界にも広がり、現在多くの国のスーパーマーケットではレジ袋の有料化、もしくは禁止の方向へ進んでいます。
買い物の度に無料でレジ袋をもらうという習慣は失われ、今ではほとんどの消費者が再利用できる「マイバッグ」や「エコバッグ」を持っています。
買い物をしないという人はいないため、こうした脱プラスチックの動きはさぞかし環境に良い影響を与えているかのように思われます。
しかしイギリスのグリーンピースの調査によると、2018年にイギリスで売られた“再利用可能な”バッグの数は15億袋にも及び、スーパーマーケット全体が排出したプラスチックの量は900,000トンに達しています。
ちなみに2016年の調査では“使い捨ての”レジ袋は20億個消費されています。
イギリスの人口6,600万人から換算すると、2018年に売られた再利用可能なバッグは、実際にはほとんど再利用されておらず、数回の利用で捨てられたことがわかります。
グリーンピースは、イギリスの世帯が年間で54個のバッグを購入していると見積もっていて、政府に対してより高い料金の義務付け、もしくは完全なレジ袋の廃止を求めています。
安すぎるマイバッグやエコバッグはプラスチック削減に貢献しない
イギリスの環境庁は、再利用可能なバッグの売り上げの伸びは、消費者がそれをエコバッグとしてではなく、使い捨ての袋として選択していることの表れだとしています。
スーパーマーケットのプラスチック削減への取り組みが、気候変動を抑えるためにうまく機能していないことは確実です。
調査をしたグリーンピースUKのフィオナ・ニコルズ氏は、「スーパーマーケットはプラスチックにも顧客に対しても失敗している」と述べます。
私たちはスーパーマーケットのプラスチックに関する声明を一週間おきに耳にします。しかしプラスチックはこれまで以上に店の棚に並べられています。
グリーンピースの調査では、スーパーマーケットの自社ブランドの商品からはプラスチックが削減されていますが、扱っているブランド商品に関してはプラスチックの包装量が増加しています。
グリーンピースと国際NGO「環境調査エージェンシー(Environmental Investigation Agency)」は、スーパーマーケットからプラスチックを本当に削減するためには、再利用可能なバッグの値段をもっと高くすることや、70ポンド(1万円弱)の罰金を設定すること、もしくは政府による禁止などの措置が必要だとしています。
アイルランドでは再利用可能なバッグを70セント値上げしたところ、バッグの売上高が90%減少しました。
これはマイバッグやエコバッグを買った人がそれを大事に使い続けていることの証拠です。
再利用可能なバッグの値段が安すぎると、それは簡単に使い捨てられてしまいます。
日本でもレジ袋の有料化が進み、多くの人が「マイバッグ」や「エコバッグ」を持つようになりました。
しかしこれらの製品もまたプラスチックで作られているものがほとんどであるため、いつの日かそれはプラスチックごみになり、適切に処理されなければ微細なマイクロプラスチックとなって環境を汚染することになります。
イギリスの例は、マイバッグの値段が安い場合、プラスチック削減に対しあまり効果がないことを示しています。
マイバッグの素材もプラスチックの場合が多いから、環境のためには自然素材のものを選ぶべきかもしれないな
マイバッグだけじゃないけど、使えるものはなるべく長く使っていくようにしたいね
References:BBC