目覚めた後に飲む一杯のコーヒーは眠気を覚まし、脳を活性化するのに役立ちます。
カフェインは脳のワーキングメモリ(作業記憶)に働きかけ、短期的な記憶能力を向上させることができます。
しかしカフェインには中毒性があり、頭痛や疲労、不機嫌といった症状を引き起こし、またカフェインの摂取をやめた場合には、眠気や不安、抑うつなどの離脱症状に悩まされることになります。
科学者はワーキングメモリを活性化し容量を増やす方法の一つとしてカフェインが有効であることは認めているものの、カフェインだけに頼ることは好ましくないと考えています。
Scientific Reportsに掲載された研究は、カフェインの代替物として、「軽い運動」を候補に挙げています。
20分程度のウォーキングでさえ、朝のコーヒーと同等のワーキングメモリを得られます。
軽い運動はカフェイン摂取と同じくらい脳の活性化に有効
カナダのウェスタンオンタリオ大学にある、運動と健康心理学研究室(Exercise and Health Psychology Laboratory)の所長、ハリー・プラパベシス(Harry Prapavessis)氏が主導した研究は、カフェインと有酸素運動が脳の認知能力にどう影響を与えるのかについて調べています。
カフェインと運動がそれぞれ脳に良い影響を与えることは広く知られていますが、これら2つの効果を直接比較した研究はこれまでありませんでした。
カフェインは少量の場合、健康にほとんど悪影響を及ぼしません。
しかしカフェインには中毒性があるため、人によっては一日に何杯ものコーヒーを飲み、それが不安や頭痛などの症状を引き起こすきっかけになります。
もし中毒にならずに、もっと健康的に脳を活性化できる方法があるならばそれに越したことはありません。
研究では、コーヒー一杯相当のカフェインの効果に匹敵するためには、どれくらいの運動量が必要なのかを調べました。
その結果、ウォーキングマシンでの20分間の運動が最もそれに近い効果を持つことがわかりました。
ウォーキングは、日常的にカフェインを摂取している人とそうでない人の両方に効果的でした。
これは一部のカフェイン中毒者と、カフェインを摂取できない人にとって重要な結果です。
研究者の一人アニサ・モラヴァ(Anisa Morava)氏は、「健康な人がコーヒーを1日に2杯飲んでも、ほとんどの生理機能に悪影響を与えないという意味では、一般的に問題はない」と述べる一方、特別な集団ではカフェインの摂取が問題になる可能性があり、制限または減量する必要があると指摘しています。
モラヴァ氏は、不安症の患者、筋肉の震えのある人、妊婦といったカフェイン摂取が勧められない人たちや、逆に1日に4杯以上もコーヒーを飲むような中毒の人たちにとって、運動が効果的な代替手段になるとし、カフェインを減らすことが簡単な作業ではないことを認めつつも「離脱症状を経験している場合、運動は症状の一部を軽減できる可能性がある」と話しました。
研究では有酸素運動が、カフェイン摂取後12時間で発生する離脱症状の軽減にある程度役に立つことが明らかになっています。
また運動はカフェイン摂取と異なり、12時間後のワーキングメモリの衰えがないことも確認されており、研究者は、カフェインと運動が脳の認知能力に及ぼす影響についてさらなる調査を行いたいとしています。
朝のコーヒーほど目が覚めるものはない……何も運動なんかしなくても……
コーヒーがダメって人もいるし、カフェイン中毒になる可能性もあるからね
運動とカフェイン、どちらも適度につきあっていくのが健康には一番いいのだろうな
References: Medical Xpress