Googleの研究者は、乳がんの診断にAIを利用することで、人間の専門家よりも高い精度でがんを検出できるとする成果を発表しています。
乳がんは最も一般的ながんの一つであり、日本の厚生労働省は40歳以上の女性に対し定期的な検診を呼びかけています。
研究では、アメリカとイギリスの何千人もの女性のマンモグラフィー(乳房をX線で撮影する手法)によるスキャンデータを用い、乳がんを検出するための人工知能モデルを作成しました。
現在イギリスのマンモグラフィーの診断結果は、2人の独立した放射線の専門家によって分析されていますが、人間の手によるものであるため常にエラーの余地が存在しています。
また日本をはじめとした多くの国でも、マンモグラフィーによる診断に見落としがあることが指摘されており、がん検出の精度向上は大きな課題とされています。
AIによる診断精度の向上は人間によるミスを減らし、医師の仕事量を軽くすることができます。
AIによる乳がん診断は発見率を高め誤診を減らすことができる
Googleの研究チームは、現在イギリスで行われている2人の放射線専門家による乳がん診断の結果をAIの画像診断結果と比較しています。
そして1人目の診断結果とAIの診断結果が同じである場合と違う場合とに分け、診断結果の精度を検証しました。
その結果、1人目の診断結果がAIの診断結果と同じである場合、2人目の臨床医の作業負荷を最大88%削減できることがわかりました。
AIによる診断は、がんの発見率を高め、誤診を減らすことにも貢献しています。
AIを使うことにより、誤診の数はアメリカで5.7%、イギリスでは1.2%減少しました。
また乳がんの見落としも、アメリカで9.4%、イギリスで2.7%減少しました。
英国Google Healthのリーダーであるドミニク・キング氏は、「乳がんを早期に発見すればするほど患者にとって良い結果になる」と述べ、AI技術による乳がん診断が、専門家と患者にとって最高のサポートになると話しています。
そして「忙しくない医者や看護師を見つけることのできる国はない」と述べ、AIによる診断が専門家の負担を軽減できることを強調しました。
研究に協力した王立がん研究基金(Cancer Research UK)のケン・ヤング医師は、今回の研究が、これまでの約30,000回に及ぶスキャンから得られた実際の診断結果を使っている点でユニークであると指摘しています。
研究チームは、AIによる診断についてはさらなる改良が必要であるとしながらも、この技術ががん診断における「セカンドオピニオン」として利用されることを期待しています。
マンモグラフィーによる診断はすごく難しくてがんを見落とすケースも結構あるみたい
AIが診断の精度を上げることができればもっと多くの人が助かるようになるかもしれないな
References: AFP