ダイエットのために行う断食「ファスティング」、専門家が指摘する効果と危険性

雑ネタ

ファスティング、すなわち断食によるダイエットはその効果について様々な意見があります。

空腹状態が人間の体に良い影響を与えることは広く知られています。

体重の減少はもちろんのこと、免疫系や脳機能の改善などに効果があることはいくつかの研究結果が明らかにしています。

一方で一部の医療従事者や専門家は、過度なダイエットが健康に有害であると指摘し、ファスティングの有効性を疑問視しています。

 

アメリカの複数の研究者は、ファスティングやダイエット、そして断食の持つ意味や効果などについて具体例を挙げながらそれぞれの主張を展開しています。

ファスティングを始める前に、彼らの意見に耳を傾けるのは悪い選択肢ではありません。

 

スポンサーリンク

 

FMD――食べながら体重を減らすファスティング

 

南カリフォルニア大学の老化学と生物科学の教授、ヴァルター・ロンゴ氏は、独自のダイエット方法を開発しています。

それは「FMD (Fasting Mimicking Diet-断食模倣ダイエット)」と呼ばれるもので、断食のように全ての食を断つのではなく、ある程度の食べ物を口にしながら行うダイエット法です。

FMDは複数の実験により体重減少に効果があることがわかっています。

マウス実験では、内部脂肪の減少だけでなく神経細胞の再生も確認され、19人の肥満者を対象にした実験では、老化や糖尿病、さらには心臓病やガンのリスク因子の低下が認められました。

 

FMDの手順は次の通りです。(FMDは健康に配慮し、1カ月のうちの5日間しか行うことができません)

 

1日目には、10%のタンパク質、56%の脂肪、34%の炭水化物からなる計1,090カロリーをとる。

2日目から5日目までの期間は、9%のタンパク質、44%の脂肪、47%の炭水化物からなる計725カロリーの食事をとる。

 

FMDは最初の一日だけ多くのカロリーをとり、残りの4日間は少ないカロリーで過ごします。

たったこれだけで体重減少と健康の改善を期待できます。

ロンゴ教授は、「あなたの体は断食をしているとは感じないかもしれないが、その効果は断食と同じだ」と述べ、FMDの効果を強調しています。

 

スポンサーリンク

 

断食は体を若返らせ、健康を促進する

 

 

断食が健康を促進するのは、空腹という状態に秘密があるからです。

かつて狩猟生活をしていた人類にとって、食事は保証されたものではありませんでした。

そのため空腹時においても神経を研ぎ澄ますことは、獲物を狩るうえで非常に重要でした。

研究者は進化論的にみるならば、人類が空腹時に力を発揮できるのは理にかなっていると考えています。

 

米国カリフォルニア州にある生物医学系の研究所である「ソーク研究所」のサッチン・パンダ教授は、「断食は体を若返らせ修復し、それは健康を促進するのに役立つ」と語っています。

パンダ教授はマウス実験で、食事制限が、コレステロールや血糖値の低下および体重の減少に効果があることを確認しています。

また断食がマウスの内臓の損傷の度合いを減らし、運動能力の低下を防ぐこともわかりました。

教授は、「断食はいくつかの病気に関しては薬よりも予防効果がある」と述べています。

 

スポンサーリンク

 

外見を重視して行う断食はその人の幸福を損なう可能性がある

 

断食が体重減少や健康の改善に役立つという報告がある一方で、それを危険であるとみなす人たちもいます。

体は食べたものから栄養を吸収できなくなると、血液中の血糖(グルコース)を消費し始め、それでも食べ物が供給されない場合は、今度は脂肪を分解してエネルギーに変えます。

このプロセスは体の中の毒素を排除し体重の減少を促しますが、長く続けた場合、健康に害をもたらす可能性があります。

 

ピッツバーグ大学のマデリン・ファーンストロム博士は「断食に科学的根拠はない」と述べ、人の内臓は毒素を排出する機能を備えているため、特別なことをする必要はないと強調しました。

またアリゾナ州立大学の臨床助教授で、栄養学アカデミーの長官でもあるメリンダ・ジョンソン氏も、ダイエットのために断食をするのは危険であると述べています。

断食をダイエットとして行うことは、下半身のイメージや自尊心に影響を与え、食べ物との関係を歪ませます。

ジョンソン氏は、「多くの人は体重を減らすために断食を行っている」と指摘したうえで、外見を重視して行われる断食は結果的に、その人の幸福を損なう可能性があると結論づけています。

 

スポンサーリンク

 

ファスティングの効果は未知数、自分にあった方法を

 

人の最低摂取カロリーは年齢や性別などでおおよそ決まっており、肥満の問題の多くは余剰のカロリーにあります。

激しい運動でカロリーを消費できない場合、食べる量を減らすのは間違いなく効果的です。

 

FMD以外にも、食事をとりつつ体重を調整するダイエット方法はあります。

例えば以下のようなものです。

 

「5:2ダイエット」――2日間断食をし、残りの5日間は普通に食事をとります。

「1日おきの断食」――1日断食をし、次の日には500~600カロリーをとることを繰り返します。

「16:8ダイエット」――1日のうち8時間の間だけ食べ、残りの16時間は断食をします。

 


 

断食をベースにしたダイエット方法であるファスティングの効果については、専門家でさえ意見が一致していません。

また体重の増加はカロリーだけの問題ではなく、運動不足やストレスといった要因とも密接に関係しています。

いずれにしてもファスティングは、体や心に十分配慮し、自分にあったやり方で行うのが望ましいでしょう。

 

 

 


 

 

しぐれ
しぐれ

断食といっても、少しでも食べながらできるなら魅力的なダイエット方法だね

せつな
せつな

反動でやけ食いしないようにしたい……

 

 

 

References:Is fasting good for you?,Why we’ve all been doing the Fast Diet wrong