他のエンターテインメントにはない魅力 トッド・ハワード氏が語るオープンワールド

ゲーム
(Bethesda Softworks)

ベセスダソフトワークスのトッド・ハワード氏が英国紙ガーディアンのインタビューに応じ、オープンワールドゲームについて語っています。

 

ベセスダで20年以上にわたりゲームを制作してきたハワード氏は、特に「Elder Scrolls」と「Fallout」の2つのシリーズで知られています。

どちらもプレイヤーに物語の選択を委ねるオープンワールドゲームで、ハードの制約を感じさせない自由度の高さが評価されています。

これらのタイトルの成功は、数多くのフォロワーを生み出し、今では少なくない数のゲームが何らかのオープンワールド要素を備えています。

 

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ベセスダが切り開いたオープンワールド

 

昨今のオープンワールドブームについて聞かれたハワード氏は、まずキャリアの中で印象に残っているゲームとして「Terminator: Future Shock」を挙げました。

1995年に発売された「Terminator: Future Shock」は、映画「ターミネーター」の世界を元にした一人称のシューティングゲームで、3Dマップを自由に行き来できる自由度の高さが特徴でした。

しかしマルチプレイヤーがない点や、このジャンルの始祖の一つである「Doom」との比較などにより、期待したほどの売り上げは得られませんでした。

 

 

ハワード氏は、「ベセスダにフォールアウトが来たとき、人々は私たちに、“終末もののオープンワールドを作っている!”と言いました。しかし私たちは既にターミネーターでそれを行っていた」と述べ、「Terminator: Future Shock」は過小評価されており、当時はそれにイライラしたが、今やオープンワールドは当たり前のようになっていると指摘しました。

 

「Elder Scrolls」と「Fallout」シリーズは、作品を重ねるにつれ、プレイヤーの行動の幅や選択肢が広がっていきました。

オープンワールドゲームでは、プレイヤーの行動が世界に影響を与え、それによって物語が柔軟に変化していきます。

プレイヤーと世界の相互作用は、リニアなゲームにはない特徴です。

ハワード氏は、「ここで何をするのか?どんな可能性があるのか?これこそが、オープンワールドゲームと他のエンターテインメントとを分けるものである」と述べています。

 

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オープンワールドに必要なのはアクセスのしやすさ

 

ベセスダソフトワークスとその親会社であるZeniMax Mediaは、先日、マイクロソフトに買収されました

マイクロソフトは、Xboxで家庭用ゲームの市場に参入して以降、ソニーや任天堂といったライバルと同じく、より良いゲームを提供するための環境作りに力を注いできました。

11月に発売されたXbox Series X/Sは強力なマシンパワーを備えており、表現力の向上に大きな期待が寄せられています。

 

ハワード氏は現在、新規IPであるSFRPG「Starfield」に取り組んでいます。

詳細は未だ明かされていないものの、これまで手掛けてきた作品と同様、オープンワールド形式のゲームと推定されています。

新しいコンソールは、今後のオープンワールドゲームにとって、どれほど重要な意味を持つのでしょうか?

この問いにハワード氏は、「私にとっては、クロックよりもアクセスが重要だ」と述べ、ゲームに没頭するのを妨げるロード時間こそが問題であると指摘しました。

そして、「私たちの作るゲームは、何時間も座って遊ぶものである」と説明し、「使用しているデバイスや場所に関係なく、簡単にアクセスできるようになるのが、次の5年から10年の世代のゲームだと思う」と付け加えました。

 

マイクロソフトは、クラウドを使ったゲームストリーミングサービス「xCloud」を提供し始めています。

ハワード氏のコメントは、将来のベセスダのタイトルが、コンソールに限定されない可能性を示唆するものです。

 

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マルチプレイヤーゲームへの挑戦

 

Elder Scrolls Online (ZeniMax Media)

 

ベセスダのタイトルは伝統的にシングルプレイヤーゲームが多く、マルチプレイヤーモードを搭載したタイトルが溢れる現在の傾向とは一線を画しています。

しかし近年ベセスダは、マルチプレイヤーにも視野を広げています。

 

Elder Scrolls Online」と「Fallout 76」は大規模なマルチプレイヤータイトルであり、どちらも課金要素を備えています。

このうち「Fallout 76」は、発売当初から大きな批判にさらされました。

これはシングルプレイヤーとして世界に浸りたいプレイヤーからの反発と、ゲームの出来に対する非難です。

ハワード氏は、「私たちは多くの人を失望させた」と述べ、発売当時のゲームが未熟だったことを謝罪しました。

一方で、その後のアップデートによりゲームが進化した点に触れ、「私たちは明らかにシングルプレイヤーの大ファンだが、マルチプレイヤーに焦点をあてたゲームで、ある程度の成功を収めることができた」と強調しています。

ハワード氏は、「Elder Scrolls OnlineやFallout 76のプレイヤーは、マルチプレイヤーをシングルプレイヤーのように楽しみたいと思っていることがわかった」と述べています。

 

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ハワード氏は現在でもあらゆるゲームを楽しんでおり、時間がない時にはTwitchを見ています。

最近のお気に入りは「Among Us」で、クリエイティブな理由と、社会的および個人的な理由で高く評価しています。

ハワード氏は好きなゲームの特徴に、「自分が入りたいと思う世界があること」、「自分自身の物語を語れる機会があること」を挙げています。

 

 

 

Reference: The Guardian