エジプト考古省は7月13日、クフ王の父スネフェルによって建設された「屈折ピラミッド」を、50数年ぶりに一般公開すると発表しました。
屈折ピラミッドはその名が示すように、途中で角度が変わっている珍しいピラミッドです。
スネフェルの屈折ピラミッドは1956年に発掘調査が開始され、以降、スネフェルの妻のものとされる墓など、多くの貴重な遺物が発見されました。
その後ピラミッドは修復作業のため1965年に閉鎖され、今日まで関係者以外が訪れることはできませんでした。
今回一般公開が決まった背景には、2011年に起きたエジプト革命の影響による観光収入の激減があります。
エジプトは遺跡の安全性を世界にアピールし、再び観光客を取り戻そうと考えています。
The opening of Senefru’s Bent pyramid and the announcement of a new discovery consists of a collection of clay and wooden sarcophagi with mummies and funerary masks#egypt #egyptology #dahshurpyramid #news #newspapers #Media420 pic.twitter.com/2dkUtSC63K
— Ministry of Tourism and Antiquities (@TourismandAntiq) July 13, 2019
屈折ピラミッドは地面から最初の49mが約54度の傾斜で作られ、そこから上の部分は約43度の傾斜となっています。
なぜこうした作りになっているのかは、はっきりとはわかっていません。
屈折ピラミッドの形はギザの大ピラミッドの形につながる
ピラミッドは作られた時代によって形状が異なります。
屈折ピラミッドよりも前の時代のピラミッドは「階段ピラミッド」と呼ばれるもので、複数の層を積み上げて作られていました。
その後時代が下るにつれ、ギザギザの形からよりなめらかに形へと変わっていきます。
しかしギザの大ピラミッドのような、美しい三角錐のピラミッドを建設するためには、技術面での進化が必要でした。
屈折ピラミッドは、原始的な階段ピラミッドと先進的なピラミッドのちょうど中間に位置する構造物です。
傾斜の違いは、建設の途中でバランスをとるのに苦労し、方針が変更されたことを示唆しています。
屈折ピラミッドは、スネフェルが生涯に作った5つのピラミッドのうちの4番目にあたります。
そして5番目にあたる「赤いピラミッド」は、息子であるクフ王が作ったピラミッドの原型ともいえる形をしています。
スネフェルが建設した赤いピラミッド (Red Pyramid/Kris Runstrom)
屈折ピラミッドとそれに続く赤いピラミッドは、これ以後に作られるピラミッドの形に大きな影響を与えました。
屈折ピラミッドからは、いくつもの副葬品、ミイラ、仮面、道具、棺桶などが見つかっていますが、スネフェルが埋葬されている場所は特定できていません。
50年以上に及んだ修復作業では、ピラミッド内外の階段の取り付け、照明の追加、廊下や埋葬室の修復などが行われました。
現在観光客は、ピラミッドの内部にある2つの部屋と、スネフェルの妻であるヘテプヘレス1世のために建てられた、高さ18mのピラミッドを訪れることができます。

きれいな三角形のピラミッドになるまでには苦労があったんだろうね

1人の王が5つもピラミッドを作ってるのがすごい……
References:LiveScience,TheGuardian