イギリスの考古学者を中心とした研究チームは、ストーンヘンジの巨石がどこからやってきたのかについて一つの答えを導きだしています。
大きいもので7メートルを超える巨石は「サーセン石 (Sarsen stones)」と呼ばれる高密度の砂岩でできていますが、イギリスのどの地域から運ばれてきたのかは解明されていませんでした。
新しい発見は、60年前に採取されていた石のサンプルがきっかけでした。
巨石のほとんどが同じ場所から運ばれてきた
英国ブライトン大学のデイビッド・ナッシュ教授の考古学者チームは、1958年の発掘調査に参加した人物が保管していた石のサンプルを入手し、化学分析を行っています。
巨石をくり抜いて得られたサンプルは、2019年にストーンヘンジを管理しているイングリッシュ・ヘリテージに返還されるまで、誰もその存在を知りませんでした。
研究チームはサンプルから石の組成データを取得した後、イングランド南部20か所に存在するサーセン石を訪れ、それぞれの石の成分をサンプルのものと比較しました。
その結果、遺跡の北25キロにあるウエストウッズのサーセン石が、ほとんどの巨石の成分と類似していることがわかりました。
現在ウエストウッズのサーセン石のある場所は下草の生えた森林地帯ですが、石が運ばれた紀元前2000~2500年当時は、開けた高台であったと考えられています。
ウィルトシャーにあるサーセン石 (Herry Lawford/Flickr)
ナッシュ教授は発見について、「21世紀の科学を利用し何世紀にもわたって議論されてきた疑問に答えることは、本当にエキサイティングだ」と話しています。
イングリッシュ・ヘリテージのスーザン・グリーニー氏は、「最も大きな石を最も近くから得ようとするのは理にかなっている」と説明し、「この発見は、ストーンヘンジが熟慮のうえに建設されたことを示している」と述べています。
20トン以上の石をどのような方法で運んだのかは依然謎のままであり、またいくつかの巨石がウエストウッズ以外から運ばれてきた理由もよくわかっていません。
過去の研究からは、ストーンヘンジに配置されている「ブルーストーン」と呼ばれる石が、320キロ離れたウェールズのプレセリ・ヒルズから運ばれてきたことが明らかになっています。
これらの事実は、ストーンヘンジの建設に複数の集団が関わっていた可能性を示唆しています。
イングリッシュ・ヘリテージのグリーニー氏は、「今回の発見は、ストーンヘンジの建設者が材料を運んだルートを理解するための、新しいパズルのピースだ」と述べています。
研究結果はScience Advancesに掲載されました。

20トンもの石をどうやって運んだんだろう……

川を使ったり丸太を並べる方法があるけど、決定的な証拠は見つかってないみたい
References: BBC,The Guardian