メキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)は、メキシコシティでの発掘調査から、新たにアステカ時代の頭蓋骨119個を発見したと発表しています。
頭蓋骨はアステカの首都テノチティトランの中心部にあった、「テンプロ・マヨール」と呼ばれる神殿跡で見つかりました。
メキシコシティはスペインの征服者が滅ぼしたテノチティトランの上に建てられており、現在でも発掘調査により多数の遺物が見つかっています。
頭蓋骨を積み重ねて作られたツォンパントリ
頭蓋骨は、「ヒューイ・ツォンパントリ (Huey Tzompantli)」として知られる円形の塔の東側で見つかりました。
ツォンパントリはアステカやマヤにみられる構造物の一つで、いくつもの首を並べて陳列したものです。
陳列の方法は場所や文明によって異なり、木製の棚を使ったものや、壁に積み重ねていくものなどがあります。
ツォンパントリには、戦争の捕虜や、神に人身御供として捧げられた人間の首が並べられ、これを見たスペインの征服者たちは大いに恐怖しました。
ヒューイ・ツォンパントリの東側で見つかった頭蓋骨 (Credit: INAH)
今回調査が行われた場所からは、以前にも484の頭蓋骨が見つかっています。
ヒューイ・ツォンパントリは年代測定の結果、1486年から1502年の間に建てられたことが明らかになっています。
頭蓋骨の発見について、メキシコのアレハンドラ・フラウスト・ゲレロ文化大臣は、「テンプロ・マヨールは私たちを驚かせ続けています。ヒューイ・ツォンパントリは間違いなく、近年で最も印象的な考古学的発見の一つです」と述べています。
頭蓋骨は当初、そのほとんどが若い男性の戦士のものであると予想されていました。
しかし調査を続けると、女性や子供の頭蓋骨も含まれていることがわかりました。
ツォンパントリに並べられる首が誰の物なのかについては、考古学者によって意見が分かれます。
非戦闘員の首の発見は、アステカの文化の理解に新たな光をあてるものです。
INAHの考古学者であるラウル・バレラ氏は、「これらの個人の何人が戦士だったかはわからないが、おそらく一部は、儀式のために犠牲となるのを運命づけられた捕虜だった」と述べています。
エルナン・コルテスの軍がテノチティトランから最初に撤退したとき、アステカ人は即席のツォンパントリを作ったそうだよ
首を一つ一つ並べて飾る作業……想像したくない……
Reference: The Guardian