一般的にティーンエイジャーは中高年やそれ以降の年齢の人々と異なった感受性を持っていると考えられています。
人は年齢を重ねると感情に対して段々と鈍くなっていきます。
あんなに怖かった夜道も今では鼻歌混じりで通り過ぎることができます。
スクリーンの中の殺人鬼がギャラをもらった俳優の演技であることも知っています。
そしてめったなことでは怒りの感情を抱くこともなくなり、子供たちのいたずらには優しく微笑むだけで済むようにもなりました。
このような感受性の鈍化または老化は、人間関係や社会生活を円滑にする反面、若さへの渇望や当時の自分に対する後悔といった感情も呼び起こします。
年を取ることは嫌なことばかりだと考えてしまいがちですが、最近発表された研究によると“幸せ”への感受性は年齢に関係がないことがわかっています。
人は誰でも何歳でも幸せを感じることができます。
人はいくつになっても幸せに対する感受性は衰えない
Journal of Experimental Psychology:Generalに掲載された研究は、あらゆる年齢の人々の感情に対する感受性の変化を調査しています。
調査には10歳から85歳までの10000人以上がオンラインプラットフォームを介して参加し、恐怖、怒り、幸福に対する感受性の変化を年齢ごとに記録していきました。
参加者たちは様々な表情の顔の画像を見せられ、どの顔が一番怖がっているか、怒っているか、幸せそうか、といった質問に答えていきました。
研究結果はいくつかの新事実を明らかにしました。
一つは思春期における怒りに対する感受性の強さです。
研究では、思春期の初期から中期にいる参加者が怒りの画像に対して強い感受性を示したことがわかりました。
これはこの世代の若者がいじめなどの社会的な脅威に対して最も敏感に適応していることを表しています。
別の発見は、恐怖と怒りの画像に対する感受性は年齢が上がるにつれて低下しているのに対し、幸福の画像については変化がなかったことです。
一般的に人は年齢を重ねると感情に対する感受性が低下すると考えられています。
実際に恐怖と怒りというネガティブなものに対する感受性は年齢と共に低下しました。
しかし幸福に関してその低下が見られなかったということは、人がポジティブな感情については常に開かれた状態にあることを示しています。
主任研究者であるマクリーン病院のLaura Germine氏は「感情の手がかりを解読する能力が年齢とともに低下することは十分に確立されていますが、幸福を検知する能力の低下はほとんど見られませんでした」と述べています。
そしてこの結果は、高齢者が肯定的な感情と肯定的な見通しをもつ傾向があるというほかの研究結果と一致するものだと語りました。
研究チームはこの結果を土台に、不安などの精神的な健康に対して年齢差がどのような影響を及ぼすのかについて引き続き調査する予定です。
年をとると角がとれて丸くなるなどと言いますが、今回の研究結果をみるとなるほどという気がします。
年齢を重ねるごとにネガティブな感情に対しては鈍くなる一方、幸福を感じる能力は若いときのままだとしたら、それはもう丸くならざるを得ません。
もし幸福に対する感受性も年齢とともに低下していったならば、年をとることは苦しみでしかなかったでしょう。
しかし私たちのDNAは何歳になっても幸福を感じることができます。
現在あまり幸せだと感じていない人はほんの少しだけ自分の幸福アンテナを伸ばしてみましょう。
案外身近なところに幸せが転がっているかもしれません。
References:MedicalXpress