ブラックフライデーやクリスマスは小売業にとっての書き入れ時で、実店舗だけでなくECサイトにも多くのアクセスがあります。
特に2020年は過去に例のない状況が続いているため、ネットショッピングはこれまで以上に活況を呈しています。
しかし話題の商品や限定商品をオンラインで買うのは、実店舗で並ぶよりも難しいことがあります。
現在インターネット上のあらゆる人気商品は、その発売日に、自動購入ツール(ボット)で買い占められています。
ボットは文字通り一瞬で購入を行い、新商品は1分もしないうちに売り切れとなります。
その後商品は、利ザヤを稼ごうとする者によって、定価以上の価格で転売されます。
人気商品は転売者の使うボットによって一瞬で購入される
11月に発売された最新ゲーム機「Xbox Series X/S」と「PlayStation 5」は、発売後すぐに、世界のネットショップから姿を消しました。
現在どちらのコンソールも、eBayなどのオークションサイトで、定価の倍以上の値で売られています。
転売とボットは純粋な消費者にとって大きな問題です。
ボット管理会社であるNetaceaのトーマス・プラット氏は、どんな商品であれ「ニッチ」あるいは「注目を集めるもの」であれば、転売者の標的になり得ると説明し、ゲーム機の転売は「氷山の一角」であると述べています。
消費者の購買意欲を刺激する物は、全てボットと転売者のターゲットになる可能性があります。
プラット氏は、「ボットはすぐに利用でき、また使いやすくなっている」と述べ、特に今年はパンデミックによりオンラインでの消費が増えたため、転売による問題はますます表面化していると指摘しています。
eBayに出品されているXbox Series X。(希望小売価格は49,980円)
eBayに出品されているPlayStation 5。(希望小売価格は49,980円)
Nvidiaが発売したグラフィックスカード「RTX 3080」もボットのターゲットとなりました。
redditのあるユーザーは、「発売後1秒もたたないうちに全ての在庫が売り切れた」と述べ、その理由について、世界中からやってきたボットに攻撃されたからだと説明しました。
またゲーム販売大手GameStopのeコマース部門の元ディレクターであるロブ・バーク氏は、「ある時は、トラフィックの60%以上がボットからのものだった」と明かし、特に大規模なローンチ時にはそうした傾向が強かったと述べています。
ボットと転売者は消費者にとってやっかいな存在ですが、小売業者にとっては顧客の一人であることも事実です。
バーク氏は、店は商品を売りたいだけであり、相手が誰であるかを気にしないかもしれないと指摘しています。
転売はいまや大きな市場
この小売と消費者の間隙を突くツールは、限定スニーカー市場で誕生しました。
現在ボットの種類は数えきれないほどあり、転売者は仲間内で情報を共有しながら、人気商品の発売にあわせて攻撃を調整しています。
プラット氏によると、一部のグループは他の転売者よりも早く商品を手に入れるため、対象のWebサイトのサーバーから物理的に近いサーバーをレンタルしています。
これにより遠くのサーバーよりもほんの少しだけ早く商品ページにアクセスすることができます。
このような“エリート”転売者グループに入るには、数十ドルから数百ドルの費用がかかる場合もあります。
ボットと転売者は、いまやオンラインに当然のように存在しており、ほとんどの消費者は彼らに太刀打ちできません。
米国のコンサルタント会社Cowenは、限定スニーカーの転売市場には、約20億ドルの価値があると見積もっています。
現在転売者を取り締まる法律はなく、この問題については小売業者の対応に任されています。
イギリスの小売業者Currys PC Worldは転売を防ぐため、Xbox Series X/Sの価格を2000ポンド上乗せてサイトに掲載しました。
これは、実際の販売時に2005ポンドの値引きをするという仕組みで、定価で買い占めようとするボットを退けるのに役立ちました。
商品が本当に欲しい人に行き渡らないのは問題だね
売り上げになる以上店側も複雑だろうな
Reference: BBC