アメリカ海軍は、新しい高エネルギーのレーザー兵器の実験を行い、無人航空機の無力化に成功したと発表しています。
実験は5月16日に太平洋で行われ、海軍のドック型輸送揚陸艦「ポートランド」が参加しましたが、具体的な武器の威力については明らかになっていません。
海軍は実験の様子を写した短い映像も公開しており、一直線に伸びるレーザーが遠くに見える航空機に接触し、炎があがっている様子が確認できます。
海軍によるとこのレーザー兵器は、ノースロップ・グラマンが開発した「LWSD Mk.2 Mod.0」と呼ばれるレーザー兵器システムで、出力については、国際戦略研究所の過去のレポートなどから、150キロワットに達すると推測されています。
LWSDは、ドローンや小さなボートなどの攻撃から船を守るために使われます。
ポートランドの司令官であるカーリー・サンダース大佐は実験について、「UAVや小型機への高度な試験を繰り返すことにより、潜在的な脅威に対抗できるレーザー兵器システムについて貴重な情報を得ることができる」としたうえで、「我々はこの新しい能力によって、海上での戦争を再定義している」と話しています。
レーザーが命中し炎があがる無人航空機 (U.S. Navy)
レーザー兵器に対する関心はアメリカだけでなく、ロシアや中国、さらにはイギリス、インド、イラン、トルコといった国でも高まっており、関連した市場は世界中で盛り上がりを見せ始めています。
アメリカは1960年代からレーザー兵器に取り組んできましたが、今回の実験は過去とはレベルが異なるものです。
サンダース大佐は新しいレーザーについて、「将来の兵器システムへの道を開くものである」と述べ、レーザーは「新しいクラスのエネルギー兵器である」と付け加えています。
米国海軍によって過去にテストされたレーザー兵器システムは、15キロワットと30キロワットのものであり、2017年のテストでは、実際に航空機を停止させるだけの威力があることが確認されています。
当時のテストに関わっていたケール・ヒューズ大尉はレーザー兵器について、「風の心配も射程の心配もいりません。光の速さでターゲットを攻撃できます」と語っています。
150キロワットの出力で飛行機を破壊できるかどうかについては疑問の声もあるみたい
ゲームか映画のワンシーンのようだ……