ボランティア活動や利他的行動は体の痛みを軽減できる

雑ネタ
(Ben White/Unsplash)

多くの人が親や学校の先生などから、「人に親切にすると自分に返ってくる」と教えられてきました。

しかし(誰もが知っているように)これを実行するのは簡単なことではありません。

人間は見返りを求めるため、例え教えが真実だったとしても、自分の持っているものを他人に無条件で差し出そうとはしないものです。

一方で科学は、無償で他人のために行動したり何かを差し出したりすることが、人の健康に一定の効果をもたらすことを明らかにしています。

 

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見返りを求めない行動は人の痛みを軽減する

 

ボランティア活動をした人の多くは、それがとても気分のよいものであると語ります。

他人に何かを差し出したことで感謝されれば悪い気持ちにはなりません。

こうした「利他的な行動」――すなわち他者に対して見返りを求めない行動に関しては過去にいくつかの研究結果があり、いずれも好意的な見方をしています。

最近になって行われた別の研究は、過去の結果をさらに補強するものです。

 

米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された研究は、287人の参加者の様々な利他的行動によって発生した体の変化について調べています。

地震に見舞われながらも献血に参加した人のケースでは、彼らが普段から献血をしている人に比べて注射時の痛みを感じていないことがわかりました。

また別のケースでは、出稼ぎ労働者の子供たちのためのハンドブックを改訂するというボランティアに参加したメンバーが、ボランティアを行わなかった人に比べ、寒さをあまり感じなかったことも報告されています。

これらの結果は、他人に何か(血液や労働力)を与えることが、その人の痛みの感覚を鈍くしていることを示しています。

さらに研究では、慢性的な痛みを抱えるがん患者に病院での食事の用意や掃除などを手伝ってもらった場合や、孤児を救うための寄付をした人が痛みにどう反応したのかなどについても掘り下げました。

このどちらのケースでも、他人のために行動した場合、痛みに対する感覚が鈍くなることが明らかになりました。

また研究データからは、利他的な行動を役立つものであると本人が信じていればいるほど、痛みの軽減効果が増すこともわかりました。

 

研究著者は、脳が痛みを感じるかどうかは、人々が善行に対してどのような意味を持たせているのかが関係していると述べています。

そしてこの結果は、痛みを治療するために使われている現在の行動療法を補足するものであると結論づけています。

 


 

過去の別の研究は、人間が利他的な行動をした場合、脳が“ヘルパーズハイ”のような状態になると指摘しています。

ランナーズハイならぬヘルパーズハイは、人を助けることで発生する一種の脳の快感状態です。

人に親切にする場合に見返りを求めないこと、そして自分の行動に意味があると信じることは、痛みを軽減し生活の質を向上させることができます。

 


 

 

せつな
せつな

誰かに何かをあげるのはなかなか難しいこと……

しぐれ
しぐれ

どうしても見返りを求めちゃうからね~

ふうか
ふうか

そんな君たちには私から仕事をプレゼントしよう!お礼はいらないぞ

 

References: CNN