ヴィーガンフードは犬の健康に最適 世界各国の飼い主を対象にした調査結果

動物
(FLOUFFY/Unsplash)

ドッグフードに関する大規模な調査によると、動物由来の成分を100%除いたヴィーガンフードは、犬の健康に最も適した餌です。

環境保護や動物愛護の観点だけでなく、健康食としてもヴィーガンフードに注目が集まる昨今、一部の人たちはその恩恵を自分のペットにも与えようとしています。

2018年の調査によると世界のペットの数は、犬が4億7100万匹、猫が3億7300万匹で、その巨大なマーケットに合わせ、毎年数千点もの新たな商品が生まれています。

ペットフードの分野ではベジタリアンフードだけでなく、動物由来の成分を完全に排したヴィーガンフードも登場しており、犬向けのヴィーガンフード市場は、2028年に157億ドルの規模になると試算されています。

一方、犬をヴィーガンにしようとする試みに対しては否定的な見方もあります。

犬は基本的には肉食であり、多くの飼い主は自分の犬に、肉を含むペットフードあるいは生肉を与えることを好みます。

今回行われた調査では、世界各国の飼い主にオンラインでアンケートをとり、愛犬がどんなものを食べ、またどんな病気にかかったかなど、実際の日常について細かな聞き取りを行いました。

調査結果は、ヴィーガンフードに対する従来の印象を変えるだけでなく、飼い主のペットフードの選び方にも影響を与えます。

 

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ヴィーガンフードは従来のペットフードよりも健康的

 

イギリスとオーストラリアの動物福祉の専門家が行った調査では、世界中の2600人以上の飼い主に対し、ペットの食事の種類や獣医にかかった回数、薬の使用頻度など、7つの一般的な健康指標と22の特定の健康障害に関する質問をしました。

このうち犬の食事に関する決定権を握り、かつ「栄養と健康」に気を使っていると答えた2536人の回答について分析が行われました。

調査にはイギリスやEU諸国、北米、オーストラリアなど世界各国の飼い主が参加し、性別では9割以上が女性でした。

当人たちの食事の嗜好は様々で、その割合は何でも食べる人が40%、ヴィーガンが22%、ベジタリアンが10%などでした。

 

まず与えている食事の種類については、従来の肉食(ペットフードなど)が54%、生肉が33%、そしてヴィーガンフードが13%でした。

次にペットの健康状態に関する回答では、獣医にかかった回数において、各食事間で明確な有意差が認められました。

具体的には、1年間に4回以上獣医にかかったのは、従来の肉食をしている犬が17%だったのに対し、ヴィーガンフードでは9%、生肉では8%でした。

また健康障害(アレルギー性皮膚炎、関節炎、歯肉炎、骨折、肥満など)を訴えた犬の割合は、従来の肉食が49%、生肉が43%、ヴィーガンフードが36%でした。

ほとんどの飼い主は犬の健康状態に敏感であり、食事とその種類は大きな関心事の一つでした。

回答では44%が、今与えている餌をより健康的なものに変更したいと考えており、35%が、植物ベースのペットフードを代替候補に挙げました。

 

(Alexandra Lau/Unsplash)

 

これらの調査結果は、生肉やヴィーガンフードが従来のペットフードよりも健康面で優れていることを示唆しています。

では飼い主は、今すぐにでも愛犬の食事メニューを変更するべきなのでしょうか。

 

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最適な餌は犬によって変わる

 

分析では、生肉、従来の肉食、ヴィーガンフードの順に、それを食べている犬の年齢が高くなっていくことがわかりました。

生肉は感染症や栄養の偏りといった問題と関連していますが、個体が比較的若い場合、健康へのダメージは少なくなります。

一方年老いた犬が生肉を食べるのはより危険であり、栄養バランスのとれたヴィーガンフードが良い選択肢となる場合があります。

これは結局のところ、現在の年齢と健康状態に適したペットフードでなければ、犬の幸せには結びつかないことを意味しています。

調査を行った英国ウィンチェスター大学のアンドリュー・ナイト教授は、「ヴィーガンフードは犬にとって最も健康的で危険の少ない食事だが、どんな種類の食事であっても栄養バランスがとれていなければ、最終的には健康への悪影響が出る」と指摘しています。

 

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今回の研究は、犬の健康とヴィーガンフードの関連を調べたもののなかでは最大規模となります。

一方で参加者が普通の生活をしている個人であり、またオンラインを介したアンケート形式の調査であったため、回答が主観的で正確性に欠けている部分もあります。

ナイト教授は分析結果について、「研究施設の限られた環境で行われたものではないが、一般家庭の犬が実際に何を食べ、どのような健康状態になったかがわかりました。これは現実世界での犬がどうなるのかについての良い指標となります」と述べています。

 

研究結果はPlos Oneに掲載されました。

 


 

 

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しぐれ
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References: The Guardian,Plos One