アメリカ食品医薬品局(FDA)は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の治療方法として初めてビデオゲームを承認しました。
処方できるようになったのは、Akili Interactiveが制作した「EndeavorRX」と呼ばれるゲームで、主に不注意の症状をもつ8~12歳の子供を対象にしています。
ゲームは小型飛行機を操縦して氷河や火山、ジャングルなどを通り抜ける内容で、Akili Interactiveは、1日30分、1週間に5日間のプレイを推奨しています。
ADHDの治療にビデオゲームを承認した背景について、FDAのデバイスおよび放射線医療センターの責任者であるジェフリー・シュレン氏は、「FDAは、患者が安全で効果のある革新的なデジタル治療にアクセスできるよう取り組んでいる」と述べ、「EndeavourRxは、子供のADHDの症状を改善するための、投薬によらないオプションを提供する」と説明しました。
© 2020 Akili Interactive
アメリカでは、6~11歳の子供約400万人がADHDの問題を抱えています。
ADHDの症状には、集中力と注意力の低下や行動の制御の困難があり、日常生活や学業に少なくない影響を与えます。
FDAは今回の承認にあたり、合計600人以上の子供を対象とした複数の研究をレビューしました。
348人が参加した研究では、EndeavourRxを週5日、4週間にわたってプレイした後、36%の子供に注意の改善がみられました。
FDAは、EndeavourRxをプレイすることによる深刻な事例は報告されていないとする一方で、一部の子供には、欲求不満、頭痛、めまい、感情的反応、攻撃性などが観察されたと付け加えています。
Akili InteractiveのCEOで薬理学者のエディー・マルトゥッチ博士は、EndeavorRxについて、「テクノロジーを使用した全く新しいADHDの治療法だ」と説明したうえで、「今回のFDAの決定により、認知の問題を抱えている全ての人を支援するという目標の、最初の一歩を踏み出せることに興奮している」と話しています。
References: ScienceAlert,Akili Interactive