NASAのエイムズ研究センターの科学者は、世界の海のサンゴ礁を守るため、ゲーマーの力を借りようとしています。
「NeMO-Net」と呼ばれるシングルプレイヤーゲームは、空中から撮影した海面の画像からサンゴ礁を識別するもので、世界中のプレイヤーからのデータはNASAのスーパーコンピューターに送られ、正確なサンゴの分布と健康状態の評価に役立てられます。
NeMO-Netはサンゴの正確な分布図の作成に貢献する
サンゴは海洋生態系にとって不可欠な存在であるだけでなく、漁業や観光などとも密接に関わりがある重要な資源です。
しかし近年の海水温の上昇は、サンゴの命を脅かす「白化」と呼ばれる現象を引き起こしています。
科学者はサンゴ礁を守ろうと必死に活動していますが、サンゴの分布を正確に把握するのはとても難しく、また衛星からのデータには誤差が生じるため保全活動は難航しています。
こうした状況のなかエイムズ研究センターの科学者は、「FluidCam (流体カメラ)」と呼ばれる、リモートセンシング用の高性能の光学カメラを開発しました。
FluidCamの流体レンズは、太陽光と波の歪みを修正することで、上空から見たサンゴの位置や大きさをより正確に識別します。
FluidCamを装着したドローンはこれまでにプエルトリコ、グアム、サモアなどの海を飛び回り、サンゴや藻類の3Dデータを収集してきました。
プレイヤーはNeMO-Netを通じてこれらのデータを補強することで、海底の正確な全体像の把握に貢献できます。
(Credits: NASA/Ames Research Center/Ved Chirayath)
(Credits: NASA/Ames Research Center/Ved Chirayath)
NeMO-Netの主任研究者であるエイムズ研究センターのVed Chirayath博士は、「NeMO-Netは地球で最も強力な力を利用しており、それは派手なカメラやスーパーコンピューターのことではなく、参加する人々のことだ」と強調したうえで、最も美しい生命体の一つであるサンゴのマッピングを、多くの人に楽しんでほしいと話しています。
NeMO-Netでは、プレイヤーが様々な種類のサンゴについて学びながら、海底のサンゴの分布を特定していきます。
また、進行状況に応じてゲーム内の特典を獲得することができます。
プレイヤーから集められたデータはNASAのスーパーコンピューターに送られ、プレイする人が増えれば増えるほど世界のサンゴ礁は正確にマッピングされていきます。
NASA NeMO-Net Video Game Trailer
NeMO-NetはiOSとMac対応で、現在App Storeで無料配信中です。
またAndroid版も近日リリース予定となっています。
ゲームでサンゴの保護に貢献できるなんてスゴイねー!
たまには現実世界を救うのもいいかもしれない……