任天堂がドラガリアロストの開発者にゲーム内課金を調整するよう求める

ゲーム
© Nintendo / Cygames

Wall Street Journalが伝えるところによると、任天堂はゲーム内課金について積極的ではなく「ドラガリアロスト」を共同運営しているCygamesに対し、プレイヤーが過度にお金を消費することがないよう調整を求めました。

ドラガリアロストは2018年の9月27日から配信が開始されたiOSとAndroid向けのスマートフォンゲームで、任天堂とCygamesがスマートフォン向けアプリ事業で提携したことから生まれた作品です。

 

Wall Street Journalによると任天堂はCyGamesを所有するCyberAgentに対し、プレイヤーが特定の低確率のキャラを獲得するために多くのお金をかけることがないようにガチャの確率を含めた課金要素を調整するように求めたということです。

CyberAgentの関係者は”任天堂はスマートフォンゲームから大量の利益を上げることに対して興味がない”と述べ、もし自分たちだけでゲームを運営していればもっと多くのことができたでしょうと語っています。

 


 

ドラガリアロストについてはCyberAgentの社長である藤田晋氏が予想に反して売り上げが苦戦していることを認めています。

藤田氏は、去年の11月末頃にはゲームユーザーの増加に対し請求額が増加していないことに気づき全体的なコストを抑えることにしたと語っています。

 

またこの件に関して任天堂の広報担当者は、消費者に質の高い楽しさを提供するために支払いに関することだけでなく様々なことを話し合っていると述べています。

 


 

この動きは任天堂が自分たちのもつイメージを大事にしていることからくるものだと考えられます。

いわゆるガチャ文化に対しては日本だけでなく世界中が――特に小さい子供を持つ親たちが――非難の声を挙げています。

ファミリー層が主な顧客である任天堂が”ガチャを含むゲームに協力していると見られたくない”と考えるのは不思議ではありません。

 

一方で任天堂が開発したスマートフォン向けゲームである「ファイアーエムブレムヒーローズ」はこれまで堅調な売り上げをみせていて、世界累計で4億ドル近い収益をもたらしています。

2017年の株主総会で君島達己社長は、ファイアーエムブレムヒーローズが(同じスマートフォン向けゲームである)スーパーマリオランの10分の1のダウンロードしかないが売り上げはそれを上回っていると発言しています。
(スーパーマリオランはいわゆる買い切り型で1200円で全てのコンテンツが楽しめる)

 

任天堂は”買い切り型”と”基本無料+ゲーム内課金型”をゲームによって使いわけていますが、今回の報道をみると任天堂が従来のイメージを保持しつつ売り上げをつくることに苦慮している様子がうかがえます。

 


 

任天堂は今年「マリオカートツアー」と「ドクターマリオワールド」の2つのモバイル向けゲームを発表する予定です。

どちらも基本無料プレイタイトルになると予想されていますが、マリオカートツアーは今年度配信予定から夏に延期されています。

 

 

References:GamesIndustry.biz