ブレードの1つを黒く塗るだけ 風力発電で起きるバードストライクを防ぐ方法

自然
(Abby Anaday/Unsplash)

環境に配慮したエネルギーとして注目される風力発電は、鳥の衝突(バードストライク)という問題を常に抱えています。

風をとらえ高速で回転するブレードは鳥にとって視認しづらく、飛行ルート上にある発電所では毎年衝突の被害が報告されています。

鳥のなかには絶滅が危惧される種も含まれるため、生態系への影響を懸念する声もあります。

 

ノルウェーの科学者は、風力発電で起きるバードストライクを防ぐ方法として、タービンのブレードを黒く塗る方法を提案しています。

実験によると、3つあるブレードの1つを黒く塗るだけで、事故の発生を大幅に抑えることができます。

 

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ブレードの1つを黒く塗ると鳥に視認されやすくなる

 

ノルウェー自然研究所の科学者チームは、ノルウェーのスメラにある風力発電所で、バードストライクの発生率を低減させる実験を行っています。

過去に行われた研究では、ブレードの1つを黒く塗ると、モーションスミア(※)が起きにくくなることが証明されています。

(※鳥が高速で回転するブレードを視認できなくなる現象)

 

スメラ風力発電所はノルウェーの西海岸にあり、18平方キロメートルを超える面積に68基の風力タービンが設置されています。

実験では隣接する2基のタービンのうち、一方のブレードの1つを黒く塗り、もう一方はそのままにしました。

その結果、ブレードを黒く塗ったタービンは何もしなかったタービンと比べ、バードストライクの発生件数が年間で70%減少しました。

黒いブレードの効果は猛禽類に顕著で、特にオジロワシについては1羽の死体も確認されませんでした。

スメラ風力発電所では毎年オジロワシがブレードに巻き込まれる事故が起きており、自然保護団体が非難の声を挙げています。

 

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風力タービンによって起きるバードストライクを抑止、あるいは緩和する具体的な方法はほとんどなく、今後より大きな発電所が建設されるようになれば、鳥の死亡率はさらに増加すると予想されています。

実験を行ったノルウェー自然研究所のロエル・メイ氏は、「鳥、特に猛禽類の衝突は、風力エネルギー開発に関連する主要な環境問題の一つである」と指摘し、ブレードを黒く塗る方法について、「モーションスミアが低減し、鳥はブレードを見やすくなるだろう」と説明しています。

一方で、実験が一つの発電所でしか行われていないことから、「有効性は場所や種によって異なる可能性がある」とも述べています。

 

ブレードを黒く塗る方法は稼働中の風力発電で採用するのは難しく、研究者は、新しく建設が行われる段階で取り入れることを推奨しています。

 

研究結果はEcology and Evolutionに掲載されました。

 


 

 

ふうか
ふうか

ブレードは時速300kmくらいで回転してるから鳥が視認できなくても当然といえるな

かなで
かなで

風力発電所を建設するときには鳥の飛行ルートも考えてほしいね

 

References: BBC