アメリカの電気モーター企業「MagniX」は、世界最大規模となる9人乗りの電動航空機をテスト飛行させます。
MagniXの電気モーターを積んだセスナキャラバンは27日、ワシントンの上空を時速183kmで20~30分飛ぶ予定で、会社は2021年末までに、電動航空機の航続距離は160kmに達すると予測しています。
電気を使って飛行機を飛ばす試みには長い歴史があり、特に温暖化が叫ばれるようになって以降は、多くの企業が電気モーターや電動航空機に取り組んできました。
一方現時点では、人を乗せた状態で長い時間かつ長い距離を飛ぶのは難しく、商用サービスにまで成長するには時間がかかるとみられています。
MagniXは去年の12月にも、電動モーターを搭載した水上飛行機の短距離飛行を成功させています。
今回の飛行テストについてMagniXのCEOであるRoei Ganzarski氏は、「現行の航空機はコストが高く、汚染も非常に深刻である」としたうえで、「電動航空機は飛行時間あたりの運航コストが従来よりも40~70%削減される」と説明しました。
また「これはより多くの飛行機を小さな空港に飛ばせることを意味している」と述べ、コストが安く二酸化炭素を排出しない電動航空機は、新しい輸送ビジネスにつながると強調しています。
(Image Credit: MagniX)
MagniXは、電動航空機を使った商用サービスはすぐにでも始まると考えています。
電動航空機の将来についてGanzarski氏は、15年後には、1,600km以下のフライトは全て電気でまかなえるようになると話しています。
電動航空機のほとんどは新しく製造するのではなく、既存の機体のエンジンだけを電動モーターに取り替えます。
今回のテストで使われるセスナキャラバンは、世界で最も利用されている中距離飛行機の一つで、100ヵ国で2,600機以上が運航しています。
航空業界には安全確保のための厳しい規制がありますが、MagniXの電動モーターは飛行機の改造だけで済むため、テストの結果次第では、電動航空機への関心がさらに高まる可能性があります。
電動航空機を開発している他の企業には、航続距離約1,100kmの27人乗り飛行機を製造しているZunum Aeroや、最速の電動航空機を目指しているロールス・ロイスなどがあります。
またドイツのLiliumは、垂直離着陸ができる5人乗りの電動タクシーを開発しています。
飛行機を全部電動にするにはバッテリーが進歩しないと難しいみたい
短距離のフライトが電動航空機に変わるだけでも環境にとってはいいことだな
References: The Guardian