アメリカのコールド・スプリング・ハーバー研究所は、遺伝子操作により、短期間で大量に実がなるトマトの開発に成功しています。
新種のトマトは狭い場所でも成長できるため、都市部や農業に適さない荒れた土地、さらには宇宙空間での栽培も期待されています。
わすが40日で収穫できる「都市農業トマト」
コールド・スプリング・ハーバー研究所のザック・リックマン氏の研究グループが作成したのは、「都市農業トマト (urban agriculture tomatoes)」と名付けられた、遺伝子を改変したトマトです。
このトマトは植えてから40日以内に収穫でき、また従来のトマトのように広い土地を必要とせず、屋内の狭い空間の栽培にも耐えることができます。
見た目はバラの花のようですが、形も味も普通のトマトと変わりありません。
リップマン氏は都市農業トマトについて、「素晴らしい形と小さなサイズをもっており、そして何よりおいしいのが特徴だ」と述べています。
遺伝子編集で誕生した都市農業トマト (Credit: Lippman lab/CSHL,2019)
都市農業トマトは、成長とサイズを制御している「SELF PRUNING (SP)」と「SP5G」の2つの遺伝子の微調整によって完成しました。
これまでこの2つの遺伝子は、トマトの生育に影響を及ぼすことは知られていましたが、具体的にどの部分が成長の促進につながるのかが不明でした。
リップマン氏の研究チームは、分析の過程で茎の長さを調整する「SIER」と呼ばれる遺伝子を発見し、それを遺伝子編集ツールである「CRISPR」を使って先の2つの遺伝子と組み合わせました。
その結果、トマトの大きさや成長速度に変更を加えられることが明らかになりました。
チームは現在、遺伝子の改良に取り組んでおり、将来的にはキウイなどの果樹でも効果を試したいとしています。
都市農業トマトは、これまでのトマトのように多くの土地や水、肥料を必要としません。
狭いスペースと少ないエネルギーで栽培できる作物は、現在進行形の問題である気候変動に対抗するための、有効な手段の一つにもなります。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、森林破壊や天候の変化、農地の過剰使用などにより、世界の5億人以上が劣化した土地のもとで暮らしていると報告しています。
現在の農業は、大量生産するための広く健康な土地が必要です。
これは一部の人たちの、食べ物を得るコストの増加に結び付いています。
都市農業トマトのようなスペースや肥料を必要としない作物は、やせ衰えた土地を休ませ、世界の農業を活気ある状態に保つことができます。
また都市部で栽培できる作物は、人口増加に伴う食料問題を解決に導きます。
コンテナを積みあげるような方法なら都会でも栽培できるね
40日で栽培できるならちょっと試してみたいかもー
Reference: EurekAlert