食料問題の解決に貢献するかも、狭いスペースで大量収穫できる「都市農業トマト」

自然
Image by Manfred Richter from Pixabay

人口増加や気候変動の影響により、世界の食糧事情は困難な状況を迎えつつあります。

科学者たちはこの問題について専門的な知識を生かし様々な対策を考え始めています。

米国コールド・スプリング・ハーバー研究所では、遺伝子操作により、狭い場所でも素早く、そして大量に実がなるトマトの開発に成功しています。

新種のトマトは土地の少ない都市部や、作物の栽培に適さない土地、さらには宇宙空間で栽培される可能性があります。

 

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バラの花のように実がなる「都市農業トマト」

 

遺伝子編集された新しい品種「都市農業トマト」 Credit: Lippman lab/CSHL, 2019

 

コールド・スプリング・ハーバー研究所の教授であり、ハワード・ヒューズ医学研究所の調査員でもあるザック・リップマン氏の研究グループは、「都市農業トマト(urban agriculture tomatoes)」と呼ばれる新しいトマトを開発しました。

このトマトは遺伝子編集されており、40日以内に収穫できる急速な成長スピードを持ちます。

見た目はバラの花の部分にトマトが実るような形になっており、もちろんその全てを食べることができます。

リップマン氏は、「新しいトマトは素晴らしい形と小さなサイズを持っており、そして何よりおいしい」と評価しています。

しかしこのトマトの重要性はそのおいしさや成長の速さだけではありません。

 

束ねるような形で実るトマトは、これまでのトマト栽培に必要だった土地や水、過剰な肥料を必要としません。

そしてこのことは、現在進行形で進んでいる気候変動に対する具体的な対策にもなります。

今年の初め、IPCC――気候変動に関する政府間パネルは、森林破壊や天候パターンの変化、そして農地の過剰使用などにより、世界の5億人以上が劣化した土地の元に暮らしていると警告しました。

世界の作物栽培を農地から都市部に移行することができれば、やせ衰えた土地が再び力を蓄える時間を作ることができます。

「都市農業トマト」のようなスペースを必要としない作物の開発は、人口が過密していくこれからの世界にとってより重要さを増していくことになります。

 

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NASAも関心を抱く都市農業トマトは食料危機を救う可能性がある

 

都市農業トマトは、生殖成長と植物サイズを制御している2つの遺伝子、「SELF PRUNING(SP)」と「SP5G」を微調整することで完成しました。

これまでこの2つの遺伝子がトマトの生育の仕方を変えることは予想されていましたが、それを促進する決定的な遺伝子は見つかっていませんでした。

しかし最近になってリップマン氏のグループが、茎の長さを制御する「SIER」と呼ばれる遺伝子を発見し、それをCRISPR遺伝子編集ツールを使って突然変異させ先の2つに組み合わせたところ、トマトの形を変えられることがわかりました。

現在研究チームは遺伝子をさらに改良していて、将来的にはキウイなどの別の果樹でそれを試してみたいとしています。

またリップマン氏は、このトマトがNASAの科学者たちの関心を得ていることを明らかにしています。

 

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コンパクトで高い収穫量を得ることができる作物は、将来の食料危機を救う可能性があります。

都市部で作物を栽培する方法には、倉庫や高いビルなどでの階層式の農業があります。

品種をコンテナのような密閉した空間で栽培し、それを上方に積み上げていく寸法です。

作物の栽培には広い土地が必要ですが、階層式の農業は狭い土地であっても上方のスペースを有効活用することでその問題を解決できます。

 

今回の遺伝子改変されたトマトのように、短い期間で成長しなおかつ大量の実がなる植物は、土地での栽培による不足分を十分に補うだけのポテンシャルを秘めています。

都市農業トマトは近い将来、私たちの食卓に並び、宇宙飛行士の健康を支える重要な作物になる可能性があります。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

安全性の点で不安もあるけど、うまくいけば多くの人を救うトマトになるかもしれないね

かなで
かなで

40日で栽培できてスペースもいらないならちょっと育ててみたいかもー

 

References:EurekAlert!

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