火山観光とその危険性 自撮りの文化が招く予期せぬリスク

自然

イギリスの王立地理学会は、近年増加している火山観光の実態についてのレポートを作成し、スリルを求めてやってくる観光客が、地元当局にとって大きなリスクとなる可能性を指摘しています。

地理学会は報告書のなかで、アイスランドなどの国の緊急サービスが、押し寄せる観光客によって機能しにくくなっている例を挙げ、いつ噴火するかもわからない火山に近づこうとする人たちに自制を求めています。

 

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火山愛好家は自分愛好家 火山観光に伴う大きなリスク

 

 

報告書の執筆者の一人でケンブリッジ大学の地理学者であるエイミー・ドノヴァン氏は、「世界中に、火山の持つ自然の力に魅了されている“火山愛好家”と呼ばれる人たちが存在しているが、彼らは自分たちが危険に直面する可能性があるということに気づいていない」と述べています。

ドノヴァン氏は、火山愛好家が増えている背景に、スマートフォンやSNSの台頭があると指摘しています。

 

火口により近い場所で写真を撮ることは、フォロワーに対する強力なアピールになります。

しかし相手が自然である以上、予期せぬトラブルが発生しない保証はありません。

多くの観光客は、火口から飛び出した岩や有毒なガスで怪我をしています。

自撮りのために怪我をする観光客は、火山に近づくことのリスクについて理解していません。

ドノヴァン氏は、「火山愛好家は自分愛好家である」と指摘し、事故を防ぐには、「噴火がどれくらいのスピードで起こり、人体にどのような影響を与えるのかについて深く知る必要がある」と述べています。

 

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火山への観光客の増加は地元の緊急サービスに影響を与える

 

報告書は、事故が起きた際の緊急サービスの現状についても触れています。

火山での負傷者の救出の多くは、ヘリコプターによって行われます。

しかし機体の数には限りがあるため、出動回数が増えた場合、地元で助けを必要としている人にサービスが行き渡らなくなる可能性が出てきます。

ドノヴァン氏は、「観光業界は火山を訪れる人の増加を歓迎するかもしれないが、火山愛好家が増えれば増えるほど、当局は対応に苦慮することになるだろう」と述べています。

 

活発な火山を有する国は、観光資源として火山をアピールしています。

火山や火口で写真を撮るという行為は、SNSが発達した現代において、注目を集めるための魅力的な手段です。

しかしそこで起こる事故は、場所の性質上、多くの人の手を煩わせることにつながります。

アイスランドでは2010年に、通常のルートから外れた氷河を通って火山に向かおうとした2人の観光客が命を落とすという事故が起きました。

一部の人たちにとって火山は、自分を特別な存在に引き上げる場所であり、観光会社はその欲求を利用してツアーを組み立てます。

ドノヴァン氏は、「火山での事故の増加には、観光客だけでなく、ツアーを企画する企業や火山を管轄する自治体にも責任の一端がある」と指摘しています。

 

BBCによると、2000年以降、火山に関連して亡くなった人は2000人を超えています。

 


 

 

かなで
かなで

勝手に怪我するだけならいいけど、救出に行く人のことを考えると観光客にも責任があるよね

しぐれ
しぐれ

火山の観光は大事な収入源でもあるから、国や自治体としては悩ましいところだね

 

 

 

Reference:BBC