火山観光と自撮りとの意外な関係――“自分愛好家”が見落とす命の危険

自然

旅行に出かける目的はいろいろあります。

綺麗な景色を見ることや温泉に入って疲れを癒したりなど、人それぞれです。

しかし中にはスリルを求めて旅行に出かける人たちもいます。

バンジージャンプや高い場所にあるつり橋、はたまた海の底だったりと人はありとあらゆる場所にスリルを求めてやってきます。

燃え盛る溶岩がたぎる火山もそのうちの一つです。

 

先日発行されたイギリスの王立地理学会の調査書は、火山観光が旅行者にとって重大な危険を及ぼす可能性があることを指摘しています。

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火山愛好家

 

 

近年スリルを求めて火山を観光する人たちか増加しています。

彼らは地球の持つ原始的なパワーに圧倒され、そして魅せられます。

火山観光では何千人もの観光客が、火山の音を聞き、見て、感じるという行為のために火口や噴気孔に近づいています。

 

しかしこうした“火山愛好家”たちの過激ともとれる行動に眉をひそめる人もいます。

ケンブリッジ大学の地理学者Amy Donovan氏は、観光客は火山に近づくことのリスクについて理解していないと述べます。

Donovan氏は火山愛好家たちが山の持つ元素の力に魅了されていることを指摘しつつも、別の理由が彼らを火山に接近させていると忠告します。

 

火山観光が急激に人気を得始めた別の理由――それは携帯電話(スマートフォン)の普及です。

 

自分愛好家

 

 

Donovan氏は火山観光にやってくる人たちの増加は携帯電話の普及と無縁ではないと語ります。

これは特に、自分自身を記録する行為――セルフィー――の台頭と関連しています。

 

セルフィ―……いわゆる自撮りのこと。
SNSにアップしたり複数の人たちから”いいね”をもらうため、多くの人たちが自分と背景をより良く映そうと努力している。

 

多くの観光客が火口から飛び出した岩や有毒なガスでケガをしています。

自撮りのために火口に近づき過ぎて危険を回避できない事例は近年ますます増加しています。

Donovan氏は、火山愛好家が同時に“自分愛好家”でもあることを自覚していないことが大きな事故につながる原因の一つであると指摘します。

 

観光客は噴火がどのくらい素早く、またどのくらい人体に影響を与えるのかについて理解していないのかもしれません。

 

2010年に起こったアイスランドの事故では、上空をパトロールするヘリコプターを避けて氷河を渡り火山に向かおうとした観光客2人が死亡しました。

自撮りがエスカレートすることで、緊急サービスの目の届かない場所にまで観光客が訪れる事態が起きています。

 

またDonovan氏によればこれは観光客だけの問題ではなく、ツアーを企画する旅行会社や火山を管轄する自治体にも問題があるといいます。

 

旅行会社や活発な火山を持つ国は観光客を欲しがっています。しかし観光客の安全を保つことと両立するのは難しい。

 

最近のBBCの調査では2000年以降、火山に関連して亡くなっている人が2000人以上いることがわかりました。

そのすべてが観光客というわけではありませんが、SNSに載せる写真を撮りたいがために身を危険にさらすことが割にあわないことだけは数字が如実に語っています。

 

自分の身勝手で本来必要な緊急要請が機能しなくなることがある……火山のような秘境での観光にはそうした問題がついてまわることを意識する必要があります。

 


 

下の映像はイタリア南部のシチリア島にあるエトナ山が噴火したときのものです。

BBCのクルーと観光客が負傷しました。

 

Moment BBC crew caught up in Mount Etna volcano eruption - BBC News
A BBC team and a number of tourists have suffered minor injuries when Mount Etna in Sicily erupted. Lava flow mixed with steam had caused a huge explosion, w...

↑突然の噴火にパニックになる模様が撮影されています。自然の力を見せつけられます。

 

 

 

 

Reference:Warning against ‘volcano tourism’ risks

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