オーストラリアの研究グループは、ファーストフードやジャンクフードを中心とした「西洋型食生活」が記憶や食欲を狂わせることを発見しています。
人間は食事を通してエネルギー源である脂肪、塩分、糖分を摂取しています。
これらは健康の維持に欠かせない物質ですが、摂り過ぎた場合、体に様々な悪影響を及ぼします。
高脂肪、高糖分の西洋型食生活は、脳の記憶や食欲に関する領域を狂わせ、肥満や糖尿病などの原因となる可能性があります。
ファーストフードやジャンクフードは脳の海馬の機能を低下させる
オーストラリアのマッコーリー大学の心理学教授であるリチャード・スティーブンソン氏の研究グループは、食事の種類と記憶力の関係について調べるため、健康な20代の若者110人を対象に実験を行っています。
7日間の実験では参加者が二つのグループに分けられ、一方が栄養バランスのよい健康的な食事を、もう一方がワッフルやファーストフードなどの西洋型の食事をとりました。
参加者は毎回食事の前後に糖分の高い食品を見せられ、今この時点でどの程度それを食べたいかについて回答しました。
食後には記憶テストが行われ、得られたデータは、食べ物の種類や食欲のレベルと結びつけられました。
実験の結果、ファーストフードを中心とした西洋型の食事をしていたグループは、食後の記憶力が低下するだけでなく、食欲が減退しない傾向にあることが明らかになりました。
このグループは満腹感があっても、スナック菓子やチョコレートを見せられると、それを食べたいと回答しました。
(Didgeman/Pixabay)
研究者は、記憶力の低下や食欲の異常は、脳にある「海馬」が関係していると考えています。
海馬は、記憶や空間認識を司る脳の領域で、食欲の制御にも関わっています。
マウスを対象に行われた過去の研究では、海馬がジャンクフードに敏感に反応し、食欲に異常をきたす結果が示されています。
西洋型の食事に含まれる過剰な脂肪、塩分、糖分は、海馬の正常な働きを阻害し、記憶と食欲に影響を与えている可能性があります。
スティーブンソン氏は、「西洋型の食事は食欲の調節を難しくさせる」と述べています
実験の参加者は3週間後に再び記憶のテストを受けています。
しかしこの時は実験時とは異なり、グループ間でテストの結果に差はありませんでした。
これは西洋型の食事をとる期間によって、海馬への影響の度合いが異なる可能性を示しています。
研究者は、記憶や食欲へ影響を与える要因は他にもあるとしつつ、ジャンクフードなどの西洋型の食事について、「将来的にはたばこと同じように、制限や圧力が加えられることになるだろう」と述べています。
肥満と糖尿病の一因になる西洋型の食事は、脳機能を低下させ、認知症の発症リスクを高めます。
スティーブンソン氏は、「加工食品は若者の過食を促進し、認知機能の障害をもたらすおそれがある」と述べています。
研究結果はRoyal Society Open Scienceに掲載されました。
お菓子を食べると止まらなくなっちゃうのはわかるなー
ジャンクフードには中毒性があるから気を付けよう……
Reference: The Guardian