大量死の原因、イルカの体内から検出される化学物質の量が数年で3倍に

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Image by AJRPROJ from Pixabay

オーストラリアの研究グループは、グレートバリアリーフ周辺に生息している貴重なイルカ種の体内に、使用が禁止されている化学物質であるDDTやPCB(ポリ塩化ビフェニル)、HCB(ヘキサクロロベンゼン)が高レベルで蓄積していると報告しています。

人体に有害であることが認識されるまでの間、これらの化学物質は世界中で生産、利用されてきました。

しかし製造がストップした後も自然界には残留物が存在し、特に野生生物への影響が懸念されています。

研究者は禁止された化学物質の蓄積が、イルカの大量死を引き起こす原因の一つであるとしています。

 

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イルカの体内の化学物質の量は数年で3倍に

 

オーストラリアカワゴンドウ Photo Credit: Kimberley Inshore/Dolphin Conservation Project

 

オーストラリアのフリンダース大学とサザンクロス大学の科学者チームは、グレートバリアリーフに流れ込むクイーンズランド州のフィッツロイ川の河口で、イルカから組織のサンプルを採取し、体内に残留している化学物質の量を測定しています。

調査の対象となったのは、シナウスイロイルカ(Humpback dolphin)とオーストラリアカワゴンドウ(Australian snubfin dolphin)の2種のイルカで、いずれも州では脆弱な種として分類されています。

5mm幅の脂肪と皮膚を採取することのできる特殊なダーツを使って採取されたサンプルは、イルカの体内に蓄積している化学物質の量が、時間の経過とともに増えていることを示しました。

2009年と2010年の最初の調査時に検出されたDDT、PCB、HCBの量は、2014年から2016年にかけて行われた2回目の調査時には3倍に上昇していました。

あるメスのオーストラリアカワゴンドウから採取された組織サンプルからは、これまでに科学文献に記録されてきたどの調査結果よりも高い濃度のPCBが確認されています。

 

調査を行ったサザンクロス大学の海洋生態学者Daniele Cagnazzi博士は、組織サンプルを採取したイルカの68%が、長期的な生存に影響を与えるほどの化学物質を体内に蓄積していたと話します。

博士は、「DDT、PCB、HCBはイルカの健康と免疫系に影響を与え、また他の病気にかかりやすくする」と述べ、イルカの大量死と体内の化学物質は無関係ではないと指摘しました。

また、これらの化学物質の成分は安定しているため、既に使用が禁止されているとしても、残留物は自然環境に長期間残り続けると付け加えています。

 

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気候変動が地上の残留物をさらに海に押し流す

 

この調査は化学物質の出所を発見することを目的とはしていませんが、科学者たちは、港やその周辺地域で行われる開発やそれによって起こる洪水が汚染物質を海に流し込んでいると推測しています。

研究に参加したフリンダース大学のGuido Parra准教授は、「汚染物質の蓄積は、クイーンズランド州のイルカ全体の長期生存に影響を与える可能性がある」と述べ、気候変動や生息地の破壊、水中騒音や混獲などの既存の脅威のリストに「化学物質」を加えるべきだと強調しました。

 

農薬や殺虫剤として使用されてきたDDTやHCB、そして工業製品に使われたPCBは化学的に非常に安定しているため、使用と生産がストップした後でも土壌に蓄積したままになっています。

研究者たちは近い将来、気候変動によってクイーンズランド一帯の降雨量とその強さが増すと指摘し、グレートバリアリーフに住む珍しいイルカを守るためには、地上に残っている化学物質を減らす必要があると訴えています。

 

研究結果はEcological Indicatorsに掲載されました。

 


 

 

ふうか
ふうか

化学物質が川や海に流れ出ないような対策を考える必要があるな

かなで
かなで

他の海の動物たちも心配だよー

 

References: The Guardian