「ウィッチャー」や「サイバーパンク2077」でおなじみのポーランドの制作会社CD Projekt REDは、ウィッチャーの原作者である小説家アンドレイ・サプコフスキ(Andrzej Sapkowski)氏と、ウィッチャーのIPに関する新しい契約の合意に至ったと発表しました。
ウィッチャーはサプコフスキが1986年に上梓した短編から始まったファンタジーシリーズで、2007年からCD Projekt REDがゲーム版を制作、販売した経緯をもちます。
サプコフスキ氏はゲーム版ウィッチャーの成功(ウィッチャー3)の後、CD Projektに対して追加の報酬を求めましたが、会社側は当初の契約内容を理由にそれを拒んできました。
サプコフスキ氏の「ウィッチャー3」の売り上げに対するロイヤリティの要求額は、1,611万ドルにも及んでいます。
CD Projektは原作者の要求を「根拠のないもの」と一蹴し、「当社はサプコフスキ氏の著作物の著作権を合法的に取得しており、それに関連して支払うべき全ての負債は適切に免除されている」と回答しました。
これらのやり取りは、ウィッチャーの次回作を望むファンにとって不安な要素を含んでいましたが、CD Projektはどうやら交渉の窓を開いたままだったようです。
Netflixで12月20日から放送が開始されるウィッチャーのテレビシリーズに合わせて発表された声明で、CD Projekt REDのCEO、Adam Kiciński氏は次のように述べています。
私たちは常にアンドレイ・サプコフスキ氏の作品を称賛してきました。作品はCD Projekt REDのチームにとって大きなインスピレーションです。
Kiciński氏は、サプコフスキ氏との関係が新しい段階に入ったと話し、契約によりウィッチャー関連の「ビデオゲーム、グラフィックノベル、ボードゲーム、その他の商品」などについて、CD Projektが管理し続けることができるようになったと明らかにしました。
また過去の両者間の紛争についても合意が得られたことを付け加えています。
ウィッチャー3が発売された後、開発者は「ゲラルトの物語はこれで終わり」とする発言をしていることから、次回作はもう出ることはないのか、といった落胆の声があちこちで聞かれるようになりました。
また2018年に原作者のサプコフスキ氏が多額のロイヤリティを要求したことも重なり、両者の対立が解決しない限りは、ウィッチャーの新作は絶望的だと考えられていました。
しかし今回両者に合意が見られたことは、将来的にウィッチャーの新作が開発される可能性を示すものです。
現在CD Projekt REDは来年の新作「サイバーパンク 2077」に取り組んでいます。
開発期間が長いことで有名な制作会社であるため、仮に「ウィッチャー4」が出るにしても、かなり先のことになるでしょう。
しかし少なくとも、ウィッチャーの物語がまだ終わらないことだけは確実です。
Source:CD PROJEKT,Polygon