2月1日に開かれたソニーの2018年第3四半期業績説明会の中で、CFOの十時裕樹氏がクラウドゲーミングについて語っています。
他社が推し進めている最近のクラウド環境構築の動きに対してどう考えるか、という質問に対して答えたものです。
十時氏はPS4のインストールベースが9000万台を超え、月間アクティブユーザーの数も同じくらいの数で推移しているなかコンソールに力を入れることが当面は続くとした上で、クラウドベースのゲームが普及するにはしばらく時間が必要ではないかとの見解を示しました。
またフリートゥープレイのゲームに人気が集まっている状況に対しては警戒しているとしながらも、PS4を使った体験を提供することでより一層コンソールの魅力を発信することに集中したいと述べています。
さらにこういったPS4の戦略には多くのパブリッシャーが賛同しているとし、特に没入型のゲーム体験がPS4の生き残りに重要な役割を果たすだろうと付け加えています。
記者の質問は今後5年くらいの中長期的見通しについてのものだったので、答えが幾分あいまいとしている部分もあるかもしれません。
しかしその内容からは、ソニーがPS4やゲーム体験、さらにはPSNに対して大きな自信を持っていることがうかがわれます。
そしてそれが次世代でも継続するという強い確信が見て取れます。
©2019 Sony Interactive Entertainment Inc.
ライバルであるマイクロソフトやグーグルなどがクラウドを使ったゲーム環境を構築していることが話題となっています。
XboxのボスであるPhil Spencer氏は、世界にはコンソールを持っていないゲーマーがたくさんいることを指摘し、自分たちがそこにリーチするための環境を作っていると公言しました。
グーグルや、最近ではアマゾンなどのIT大手もクラウドゲーミングの可能性に投資をしています。
今回の十時氏の発言は、ソニーがクラウドゲーミングに対して時期尚早であるという考えを持っていることを示唆しています。
これは現在のPS4の普及台数やPSNの会員の伸びなどと合わせると当然のことかもしれません。
つい先日にはPS5のものと思われる新世代ハードに関する特許の申請が行われました。
これには明確に後方互換に関する文章が含まれています。
ソニーは今後の見通しが不透明なクラウドに投資するよりも、今のPS4とユーザーを大事にしそれを次世代につなげることを最優先に考えているのかもしれません。
テレビにつないでゲームをするという方法が一つの選択肢でしかなくなりつつある昨今、今世代のコンソールゲームの覇者ソニーが次世代に向けてどんな新しいアイデアを見せてくれるのか、今後も要注目です。
Source:Sony