毎日の練習8~16時間!高まるeスポーツ人気とプロプレイヤーの実態

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Photo by Matthew Hamilton/Unsplash

いまや世界規模で発展し続けている新しいジャンルのスポーツ「eスポーツ」は、人気と共にその賞金の額も上昇し続けています。

今年行われた人気バトルロイヤルゲーム「Fortnite」のイベントの賞金総額は3000万ドルで、個人部門ではアメリカの16歳の少年が優勝し、300万ドルの賞金を手にしました。

この300万ドルという額はこれまでのeスポーツにおける個人賞金の最高額です。

しかしこの賞金総額はエベレストの頂上ではありません。

現在(2019年8月20~25日)行われている「Dota 2」のトーナメントの賞金総額はなんと3300万ドルを超えています。

この先もeスポーツの人気が過熱していくことを考えれば、賞金総額はまだまだ上昇し続けていく可能性があります。

 

世界的なeスポーツ熱の高まりと賞金総額の上昇によって、eスポーツは、若者や自分の子供たちをプロプレイヤーにしようとする親たちにとって魅力的な職業になりつつあります。

しかし一見すると華やかで金銭的にも魅力に映るeスポーツ界も、プロゲーマーの実態を知るとなかなかハードな世界のようです。

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eスポーツプロプレイヤーの過酷な練習の日々

 

Dota 2のイベントの模様 © Valve Corporation

 

バンコク出身のAnucha“Jabz”Jirawong氏は、Dota 2で活躍する20歳のプロゲーマーです。

彼は毎年開催されているDota 2のイベント「The International」に参加し優秀な成績を収めるために、所属しているチーム「Fnatic」で日夜ゲームのトレーニングに励んでいます。

Jabz氏は13歳からゲームにのめりこみ、平日は7時間、週末は13時間もゲームに費やすほど熱中していました。

これだけでも常人を超えていますが、彼がプロになってからは、さらにそのスケジュールは過密かつ厳しくなっています。

Jabz氏によると、チームでの毎日の練習は朝の10時30分に始まり22時まで続きますが、その後もスキルアップのために各人が時間を費やすことで結局は夜中の1時頃までゲームをプレイすることになります。

 

また同じDota 2のプレイヤーでオーストラリア出身のDamien“kpii”Chok氏も似たようなスケジュールをこなしています。

彼は所属するチームで毎日8時間ゲームをプレイした後、個人でさらに数時間を費やしています。

 

いくらゲーム好きとはいえ同じゲームを8時間以上もプレイし続けるというのは決して楽な仕事ではありませんが、Dota 2のチームのマネジメントをしているジャック・チェン氏によると、ほとんどのプロプレイヤーにとってこれは決して珍しいことではありません。

チェン氏はBBCの取材に対し、「ほとんどのチームが毎日8時間から16時間をゲームに費やしている」と述べています。

そしてeスポーツやDota 2のイベントが、プレイヤーやファンにとって魅力的なものであることを認めつつも、マイナス面が存在していることも指摘します。

 

競争は熾烈であり、ある時点で物事は遊びから仕事へとその境界線を越えることになります。誰もが犠牲を払わなければなりません。

 

チェン氏は、プレイヤーがイベントで優秀な成績を残したとしても、突然の(圧倒的な)名声やそれに伴うネットでの評価などがプレイヤーの精神面に悪影響を与える可能性があると指摘しています。

 

ネットでの批判に晒されることで精神的なダメージを受ける

 

eスポーツはネットと親和性が高いため、プレイヤーのちょっとした言動がすぐに(悪い方向に)拡散していく傾向にあります。

アメリカのスポーツ放送局ESPNのeスポーツジャーナリストであるタイラー・エルツベルガー氏は、eスポーツプレイヤーの犯した間違いがすぐにRedditやTwitter、その他のオンラインフォーラムで拡散され批判に晒される現状について語っています。

氏は、10代の若者が突然優秀なチームにスカウトされた後、何百万人もの人々が評価を下すeスポーツという舞台に投げ込まれていると指摘し、プレイヤーがそうした劇的な環境変化と批判の嵐に対して準備する時間がないことに懸念を表明しています。

 

eスポーツの、特に金銭的な面に注目が集まる一方で、プレイヤーの精神的なケアという分野に対しては光があてられていないのが現状です。

ゲームのプロプレイヤーの精神的な健康リスクに関する主要な研究結果はまだありません。

しかし一部の専門家はプロプレイヤーの多くが20代半ばで引退している状況に触れ、彼らが不安や燃え尽き症候群などの状態にあり、それが引退を早めていると考えています。

 

プロプレイヤーの精神的なケアはパフォーマンスを向上させる

 

The International 2018の優勝チーム「OG」 © Valve Corporation

 

勝利するためには練習が欠かせません。

しかし何事もやりすぎは毒になります。

 

カリフォルニアのスポーツ心理学者であるダグ・ガードナー博士はDota 2のイベントに参加するチームと協力し、彼らを精神面から支える仕事をしています。

ガードナー博士は、半ば常態化している長時間の練習が、プレイヤーのゲームの質と健康面との両方に悪影響を与えていると語ります。

 

私は個人的に午前2時や3時、または4時までプレイし続けることで彼らの技術が良くなるとは思いません。

 

博士とチームはプロのアメリカンフットボールと野球の選手の例を参考に新しい練習スケジュールを考案しました。

彼らは起きてすぐにDota 2をプレイするのではなく、まず最初にジムで身体を動かしてから12時から18時までの6時間を練習にあてました。

そして18時以降は自由時間とし、プレイヤーは好きなことをして過ごせるようになりました。

 

結果は劇的でした。

チームメイトはより幸せな気持ちになり、健康的で調和して働き、またゲームでのパフォーマンスも向上しました。

ガードナー博士は、現在のeスポーツが“量”を重視していると指摘し、今後は“質”という点でプレイヤーの精神的な面にも焦点をあてるべきだと提案しています。

 

 

 


 

最近は日本でもeスポーツについて取り上げられる機会が増えてきました。

オリンピックの種目に加えようとする動きもありますが、まだまだプロプレイヤーの実態について知られていない現状があります。

賞金を得るためには人一倍、もしくはそれ以上の努力が必要になるのはいうまでもありません。

これからeスポーツで活躍しようと考えている人は、自分にその適正があるのか、そしてネット中心の世界の中で精神的に健康でいられるかどうかなどについて一度考えてみる必要があるかもしれません。

 

ゲームを仕事にする……夢のような話ですが、世の中には夢のままでいた方がいいこともあります。

 

 

 

 

References:BBC

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