1日で3億5千万本達成!気候変動と温暖化に対抗するエチオピアの植樹運動

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先日エチオピアは国民総出で木を植えるプロジェクトを開始し、ギネスブックに載るほどの偉業を達成しました。

エチオピアの首相であるアビー・アハメド氏の提唱により始まった運動は、「グリーン・レガシー・イニシアチブ」として全国的に行われたもので、技術大臣であるGetahun Mekuria氏は7月30日に、12時間で3億5千万本以上の苗木を植えることができた、と発表しています。

国民には最低でも40本の苗木を植えることが推奨されました。

 

 

これまでの短期間での植樹の最高記録は、2016年のインドが達成した12時間6600万本でした。

 

この国民参加のプロジェクトは現在進行中の人類にとっての大きな課題――温暖化に対する効果的で確実な解決方法の一つです。

エチオピアはこの植樹活動を継続して行い、10月までに40億本の苗木を植える予定です。

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植樹は温暖化に対する効果的で確実な方法

 

エチオピアの植樹は温暖化を防ぐという目的だけでなく干ばつを防ぐという目的もあります。

エチオピアの森林面積は減り続けていて、100年前には国土の35%だったものが、2000年代には実に7%にまで減少してしまいました。

 

森林の減少はエチオピアだけでなく世界共通の懸案事項です。

森林が吸収する二酸化炭素の量が減ることで地球はその温度をどんどん上昇させています。

いまや異常気象はありふれたものになりつつあります。

温暖化という喫緊の問題に世界の国々が協力し行動しようとしていますが、現状そのスピードは速いとはいえません。

こうした状況の中、もっとも温暖化に対して確実で効果のある方法の一つが植樹です。

木は人間や動植物の生活を支える役割も持っています。

 

エジンバラ・ネピア大学の木材科学技術センター長であるダン・ダンドリ―・エリス博士は次のように述べています。

 

木は大気中の二酸化炭素を吸収することによって気候変動を緩和するのを助けるだけでなく、特に乾燥した地域や国においては、砂漠と土地の劣化に対抗するうえで大きな利益をもたらします。植樹は、食料、住居、燃料、飼料、材料、そして水道の保護を提供します。

 

博士は今回のエチオピアの植樹キャンペーンを、印象的で偉大な挑戦であると述べます。

それは単に木を植えるだけでない、木と人々の短期的、長期的なニーズを考慮にいれた巨大で複雑な挑戦の一部であると評価しました。

そして森林管理者にとっての“マントラ”であるともいえる、「適切な場所に適切な木を」の精神にのっとり、生態学的、社会的、文化的、経済的側面など様々な要素をふまえながら気候変動の影響について考えるべき時期に来ていると指摘しました。

 

2050年までに10億ヘクタールの森林を増やす――温暖化を防ぐための挑戦

 

Image by annca fromPixabay

 

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)よれば、もし2050年までに10億ヘクタールの森林を増やすことができれば、地球温暖化を産業革命以前のレベルに戻すことが可能です。

10億ヘクタール――これはおよそアメリカ合衆国の全面積に匹敵する広さです。

途方もない数字に思えますが、実のところ人類はここ35年間でもっとも植樹をしています。

この間に世界の森林面積は約7%増えました。

しかし残念なことに、地球の総樹木本数は12000年前(人類の夜明け)から比べると46%も減少しています。

懸命な植樹活動は地球の温暖化を防ぐ役割がありますが、それよりも早いスビードで森林が失われているのが現状です。

2017年のデータによると、この年に地球は3900万エーカーの森林を失いました――これは毎分サッカースタジアム40個分の面積が消失するのに相当します

 

進む温暖化を防ぐためには、単なる目標として数字を掲げるだけでは不十分です。

先に挙げた森林管理者のマントラ「適切な場所に適切な木を」は、温暖化をストップさせるための大きなカギとなる可能性があります。

 


 

サイエンス誌に掲載された研究では、地球の地表の衛星画像から植樹に適した土地を選び出しそれを定量化する試みが行われています。

それによると地球には、新しく森林として機能できる9億ヘクタール以上もの土地が存在しています。

それらが実際に森林として機能すれば、実に5000億本もの木が二酸化炭素を吸収することになり、試算では、それは産業革命以降人類が放出してきた二酸化炭素の実に3分の2に匹敵する量になります。

もちろんこれは机上の計算であり、幾分理想論的でもあります。

気候学者たちは、森林再生だけが気候変動に対する唯一の特効薬ではない、と指摘し、植樹が他の方法と同様により大きな戦略の一部であることに注意する必要があるとしています。

 


 

別の研究はもう少し現実的なアプローチにスポットをあてています。

それは現在ある森林を生かそうというものです。

地球上ではこの瞬間にも多くの森林が失われていますが、中には回復可能な状態なものも数多くあります。

Science Advances誌に掲載された研究は、そうした回復可能な森林を特定し再生することで資源を最大限に活用する試みを紹介しています。

 

研究著者たちによると、世界にはブラジルの面積に匹敵する、約8億6300万ヘクタールもの回復可能な森林が存在しています。

彼らは各地の森林に「回復機会スコア」と呼ばれる数値を割り当て、そのスコアが高い地域をより重要な回復可能スポットとしてピックアップしました。

この地域を再生することは、より多くの二酸化炭素の吸収や生物多様性の確保などにつながります。

現在もっとも回復機会スコアが高いとされている国々はアフリカに集中していて、上位6カ国は、ルワンダ、ウガンダ、ブルンジ、トーゴ、南スーダン、そしてマダガスカルとなっています。

 

 

 


 

エチオピアの試みは、近い将来温暖化に対処しなければならない人類にとって明るいニュースになりました。

エチオピアのように政府が主導し植樹を奨励するのはなかなかできることではありません。

 

温暖化は一つの国だけの問題ではなく、世界中の国と人々が向き合わなければならない問題です。

二酸化炭素は先進国ほど多く排出しているのが現実です。

私たちは温暖化を食い止めるために一体何ができるのでしょうか。

真剣に考える時期がやってきています。

 

 

 

References:TheGuardian,mnn

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