現在流通している薬には全て使用期限が記載されています。
大抵はかなり長い期間が設定されており、常備薬などは、ふと気づくと期限が迫っていたり既に過ぎてしまっている場合があります。
薬は食品よりも厳格に扱われることが多く、ほとんどの人は使用期限が過ぎた薬を廃棄して新しい薬を購入します。
しかし期限が過ぎた薬のなかには、40年たっても効果が残っているものもあります。
使用期限が切れた薬に関する研究は少ない
米国食品医薬品局(FDA)は、1979年から製薬会社に対し、薬の使用期限を表示するよう求めてきました。
現在流通している薬には使用期限が記載されており、人々はそれを基準に、廃棄や新しい薬の購入を行います。
しかし薬の効果は、使用期限を境にゼロになってしまうわけではありません。
実際、薬のなかには数十年も変わらず効果を持ち続けるものもあります。
米国カリフォルニア州で毒物に関する教育や予防、治療などを行っている「カリフォルニア毒物管理システム(CPCS)」のリー・カントレル氏は、「使用期限が切れている薬が人々に悪影響を及ぼすという研究結果は見たことがない」と述べ、この分野の研究が少ない理由について製薬会社の存在を指摘しています。
製薬会社は、常に新しい薬に関心をもっています。
使われない薬の効果を検証するよりも、新しい薬を売ったほうが利益になります。
2012年に発表された研究では、製造から40年以上経過した薬に十分な効果が残っている例が報告されています。
カントレル氏は、使用期限から4年以上経過した「エピペン (アナフィラキシーに対して有効な医薬品)」が、84%の効果を保持していた過去の例を挙げ、「実際の薬の有効性は、時間が経過するとともに少しずつ低下するだけだ」と説明しています。
使用期限の切れた薬にはリスクもある
使用期限切れの薬に関する数少ない研究に、米国国防総省が1986年に行った「SLEP (Shelf-Life Extension Program)」があります。
SLEPは、緊急時に備えて連邦政府が備蓄している薬の使用期限を再評価するプログラムです。
備蓄されている薬は基本的に、製薬会社が設定する期限を過ぎると新しいものに取り換えられます。
しかし全米規模での薬の交換には莫大な費用がかかります。
SLEPでは、備蓄されていた122種の薬の耐用性がテストされ、最終的に全ての薬の使用期限が平均で4年間延長されました。
このプログラムは21億ドルもの費用の削減につながっています。
米国政府の研究結果は、全ての薬に適用できるものではありません。
カントレル氏は使用期限切れの薬について、「細菌増殖の可能性や治療の失敗、さらには深刻な病気や抗生物質耐性につながるおそれもある」と指摘し、十分な注意を払うよう呼び掛けています。
アメリカではDEA(麻薬取締局)が、期限の切れた薬を定期的に回収しています。
2018年にはこの回収により、未使用の薬約168万キログラムが処分されています。

製薬会社は古い薬を使われるより新しい薬を買わせたいだろうな

期限が迫っている薬については専門家の意見を聞くのもいいかもしれないね
Reference: LiveScience