太陽風の謎を解き明かす!ESAの太陽観測衛星「SolO」が打ち上げに向けた最終調整を完了

宇宙
Copyright: ESA/ATG medialab

ESA(欧州宇宙機関)は、2020年2月に打ち上げ予定の太陽観測衛星SolO(ソロ:Solar Orbiter-ソーラー・オービター)の動作テストが完了したと発表しました。

SolOはESAが開発した太陽を観測するための衛星で、去年太陽観測のために打ち上げられたNASAのパーカー・ソーラー・プローブと同じように、太陽に関する様々なデータを地球に送ることを目的に作られました。

 

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太陽の極に近づくSolOの耐熱設計

 

SolOはエアバス社が設計を担当し英国のスティーブニッジで製造されました。

SolOのプロジェクトは1990年代後半に始まりましたが製造契約がまとまったのが2012年で、総建設費用は15億ユーロにも及びます。

製造に際し最も重要な課題は、太陽に近づくことで生じる高熱にいかにして耐えることができるか、という点でした。

SolOには、太陽の磁場を観測し、定期的に発生する太陽風のメカニズムを解明するという使命があります。またこれまで他の宇宙船や地球からの観測だけでは不十分であった太陽の極部分を観測、撮影することも重要な任務です。

このミッションのために宇宙船は太陽から4,200万キロメートルまで近づく必要があり、その地点での温度は最大で600度もの高温になります。

そのためSolOには、猛烈な太陽からの熱を遮断し観測機器を守るための特別なチタン製の防御シールドが搭載されています。

観測機器はこのシールドの後ろに常に隠れるように設置されます。

また防御シールドと合わせて複雑なラジエーターも搭載されておりシールド自体を冷却することもできるようになっています。

 

SolOの自動回復システム

 

Copyright: ESA – S. Corvaja

 

SolOは7年の調査期間を予定しています。

しかし宇宙探査にはトラブルがつきものです。

SolOは水星の軌道に入り太陽を観測することになっていますが、太陽からの距離が近いために、ちょっとした機器のトラブルがミッションの継続を困難にしてしまうおそれがあります。

このためSolOには洗練された障害回復システムが取りつけられました。

 

設計を担当したエアバス社のイアン・ウォルターズ氏はシステムについて次のように述べます。

 

ちょっとでもポイントを外せばすぐに熱的な困難に直面してしまいます。そのためSolOにはあらゆる障害に対し50秒以内に回復するシステムが組み込まれています。実際には22秒以内に通常の状態に戻ることができるでしょう。

 

SolOはその設計上、常に観測機器が耐熱シールドの後ろに隠れるようにできていますが、何らかのトラブルによって姿勢がずれてしまえば機器はすぐに燃え尽きてしまう可能性があります。

また地球で異変に気付いたとしても、修正プログラムを送る際のタイムラグにより復旧が間に合わないことも想定されます。

SolOはトラブルから発生する壊滅的な事態を事前に避けるよう、自らを回復する術を身に着けています。

 

太陽風への理解が地球を守ることにつながる

 

Copyright: ESA/ATG medialab

 

SolOの耐熱シールドには太陽を観測するための“のぞき穴”があります。

これは常に開いているわけではなく必要な場面に応じて短時間だけ開くカメラのレンズのような役割を果たします。

SolOは過去の観測機がなし得なかった様々な太陽の画像を撮影するように設計されました。

現在NASAのパーカー・ソーラー・プローブも太陽を観測していますが、太陽に近すぎるため写真を撮ることができません。(パーカー・ソーラー・プローブの太陽からの距離は平均で600万キロメートルです)

またSolOは、これまでよくわかっていなかった太陽の極の部分にも近づきその部分の画像も取得する予定です。

 

フランスのオルセーにある天文物理学研究所の主任調査官であるフレデリック・オーシェール氏は、太陽の極を見ることができるのはとても重要だと語ります。

 

誰も太陽の極を見たことがありません。しかしこれらの地域は重要です。太陽の極は非常に速い太陽風の源であり、太陽の活動と周期を理解する鍵がここにあるからです。

 

太陽風による影響は宇宙船で活動する宇宙飛行士の健康状態だけでなく、地球にも様々な悪影響を及ぼします。

米国科学アカデミーによる試算では、太陽風が地上の送電網を狂わせ電力の供給が滞った場合、最悪で1年の間に2兆ドルもの損害が発生します。

太陽風やその仕組みについて知ることは地球に住む私たちの日常生活を守ることにもつながっています。

 

 

 


 

SolOはパーカー・ソーラー・プローブとデータを共有し、同じ太陽を知るための衛星として強力なタッグを組むことになっています。

先日パーカー・ソーラー・プローブは、歴史上初めて太陽風が宇宙空間に拡散している様子を画像としてとらえています。

今後SolOの活動が加わることで、人類は太陽についてさらに多くのことを知るようになるでしょう。

 

SolOは2020年の2月6日に、アメリカのケープカナベラルから、NASAが提供するAtlasV411ロケットによって打ち上げられる予定です。

 


 

 

しぐれ
しぐれ

こんなに身近にあるのに太陽のことってあんまりよくわかってないんだね

ふうか
ふうか

太陽は恵みでもあるし災難でもあるからな。SolOが送り返してくる太陽のデータは人類の存続に重要な役割を果たすに違いないだろう

 

 

References:ESA,BBC

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