8月25日、アリゾナ大学の「カタリナ・スカイサーベイ」は、地球に落下する軌道をとる非常に小さな物体を発見しました。
同じ頃、ハワイ大学が運用している「小惑星地球衝突最終警報システム」も、正体不明の物体を確認しています。
迫りくる物体のリスクを把握するため、NASAの地球近傍天体研究センターと、ESAのNEOコーディネーションセンターが軌道の計算を行いました。
(※この2つの施設は、地球に衝突するおそれのある天体を常に観測しリスクを計算しています)
その結果、この物体が未知の小惑星などではなく、1964年にNASAによって打ち上げられた衛星であることがわかりました。
衛星は地上に到達する前に、大気圏で燃え尽きます。
地球に向かっていたのは、1964年から1969年にかけて行われたNASAの地球物理観測ミッション、「Orbiting Geophysical Observatory (OGO)」で使用された衛星の一つ、「OGO-1」です。
このミッションの目的は地球の磁気圏を研究することで、期間中、6基の衛星が1年ごとに打ち上げられました。
OGO-1は――数字が示すように――最初に打ち上げられた衛星で、待機状態に入った1969年11月25日までの間に計20回の実験を行いました。
その後OGO-1のサポートは1971年11月1日に打ち切られ、ミッション自体も1972年に終了しました。
他の5つのOGOシリーズは、既に大気圏に突入し消滅しています。
OGO-1は最初に宇宙に到達し、最後に地球に帰還することになります。
NASAは8月29日の20時44分(日本時間30日5時44分)、タヒチの南東約160kmの太平洋上空で、OGO-1の消滅を確認しました。
下の映像はOGO-1の最後の姿をとらえたものです。
最初にOGO-1の軌道の変化に気づいたのはハワイの中学生だったそうだ
地上に衝突しなくてよかったね~
Source: NASA