帰還後7カ月たっても異常を確認 無重力状態は人間の脳を長期間変化させる

宇宙
(Credits: NASA)

科学の発達により、民間人が宇宙に飛び立つ日がもうすぐやってきます。

しかし現状、人間が無重力空間に耐えられるかどうかについての検証が不足しています。

ISS(国際宇宙ステーション)に滞在している宇宙飛行士は、筋肉の衰えを防ぐため毎日トレーニングを行っています。

それでも地上に戻ってきた際には、長い時間をかけて体をメンテナンスする必要があります。

 

ベルギーの科学者は、ISSに6カ月滞在していた宇宙飛行士に協力してもらい、無重力と人間の脳の関係について調査しています。

宇宙空間は人間の脳を変化させ、筋肉や視力にダメージを与えます。

 

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無重力が人間の脳に与える影響は地上に戻っても続く可能性がある

 

ベルギーのアントワープ大学の神経科学者であるスティーブン・ジリングス氏などの科学者チームは、ISSに6カ月滞在していたロシアの宇宙飛行士8人の脳を長期間観察しています。

宇宙飛行士の脳は、「ISSに向かう前」、「地球に帰還してすぐ」、「帰還してから7カ月後」の3回にわたって、MRIの手法を使って検査されました。

地球に帰還した宇宙飛行士の体が、飛び立つ前よりも衰えていることはよく知られていますが、脳の状態がどう変化しているのかについて調べた研究はほとんどありません。

 

検査では宇宙飛行士の脳のうち、運動機能に関係している「一次運動野」と「小脳」、そして認知や感情に関係している「大脳基底核」の3つの領域で、白質と灰白質の増加がみられました。

脳の領域の変化は、体を無重力状態に適応させた結果起きています。

しかしこの変化は、科学者の予測とは異なり、地上に帰還した後でも長期間持続しました。

一部の宇宙飛行士の脳は7カ月後でも、飛び立つ前の状態には戻りませんでした。

 

研究では、宇宙飛行士の視力が無重力の影響を受けて低下することも明らかになりました。

NASAの宇宙飛行士を対象にした過去の調査でも、ISS内にある物が見えにくくなる現象が報告されています。

これについて研究者は、脳の位置が上方に移動してしまうことが原因の一つであると指摘しています。

人間の脳は脳脊髄液、いわゆる脳漿に浮かんでいますが、無重力状態では体液の流れが変わるため脳の位置がずれてしまいます。

視力の低下は、体液が目の後ろの領域に流れ込み、腫れを引き起こすことで生じると考えられます。

(視力の低下は恒久的ではなく、地上に戻ると回復していきます)

 

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調査結果は、無重力空間で起こる脳の変化が長期間にわたって持続することを示唆しています。

ジリングス氏は、「宇宙で6カ月を過ごす全ての人がこうした影響を受ける」と説明しつつも、「宇宙飛行士の脳を調査する研究はあまりない」と述べ、脳の変化がどれだけ長く続くのかについてはデータが足りないとしています。

今回調査に参加した宇宙飛行士は、期間の差はあれ、最終的には健康な状態に回復しています。

しかしテキサス大学のその後の調査では、宇宙飛行士の脳の腫れが、1年たっても残っているケースが確認されました。

ジリングス氏は、「今回の調査では有害な変化の証拠は見つからなかった」と述べ、宇宙空間で起きる脳の変化は、実際には適応によるものだと強調しています。

 

研究結果はScience Advancesに掲載されました。

 


 

 

ふうか
ふうか

トレーニングを積んだ宇宙飛行士でもISSではめまいや病気を経験するそうだ

かなで
かなで

重力は人間の健康に欠かせないんだねー

 

References: Business Insider,The Guardian

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