イギリスのロンドン動物学会は、ベトナムの山林で行われた調査から、新たに6種のカエルとそのオタマジャクシを特定したと報告しています。
ベトナムには270種以上のカエルが生息しており、このうちのいくつかの種は、開発によって破壊されつつある森の中で生活しています。
カエルを保護するには「どのオタマジャクシがどのカエルになるのか」を知る必要がありますが、絶滅が迫っている種を追跡するのは容易ではありません。
科学者は、地理データとオタマジャクシの写真、そしてDNA分析を使ってカエルの幼体と成体を結びつけています。
ほとんど姿を見せないカエルをオタマジャクシの段階で特定する研究は、この地域の他のカエルの保護にも役立ちます。
カエルを保護するにはオタマジャクシを知る必要がある
ベトナムのアジアツノガエルの一種「Maoson horned frog」 (Credit: Benjamin Tapley/ZSL)
ロンドン動物学会(ZSL)、オーストラリア博物館、ホアン・リエン国立公園などの科学者チームによって分析が行われたのは、アジアツノガエルとして知られるカエル6種です。
アジアツノガエルは名前が示すように、頭部に角のような突起をもつユニークなカエルです。
ベトナムのアジアツノガエルは、オタマジャクシでいる間は小川などで短期間見ることができますが、成長してカエルになると山林に移動してしまい発見するのが難しくなります。
現在このカエル種の多くは、まったく理解されないまま、人間の活動によって絶滅の淵に追いやられています。
ZSLの爬虫類と両生類の科学者であるベンジャミン・タプリー氏は、「成体のカエルは活発で、見つけるのが難しい場合がある」と説明し、カエルの保護に重要なのは、「どのオタマジャクシがどのカエルになるのかを知ることだ」と述べています。
オタマジャクシが特定された「Annam horned frog」 (Credit: Luan Thanh Nguyen)
研究者は現地の地理データを収集するかたわら、生息しているオタマジャクシを写真に撮り、その大きさや形状について記録していきました。
またオタマジャクシのDNAを既知のカエル種のDNAと比較し、どのオタマジャクシがどのカエルになるのかを分類していきました。
「Giant horned frog」 (Credit: Luan Thanh Nguyen)
分析の結果、「Mount Fanispan horned frog」、「Giant horned frog」、「Hoang Lien horned frog」、「Jingdong horned frog」、「Maoson horned frog」、「Annam horned frog」の6種のオタマジャクシが特定されました。
「Hoang Lien horned frog」 (Credit: Benjamin Tapley/ZSL)
「Mount Fanispan horned frog」 (Credit: Benjamin Tapley/ZSL)
アジアツノガエルのオタマジャクシは成体と同様、ユニークな形をしています。
Giant horned frogのオタマジャクシ (Credit: Benjamin Tapley/ZSL)
オタマジャクシの口には水面に浮遊している栄養素を取り込むための独特のパーツか備わっており、研究者はこれを、他の種のオタマジャクシとの競争を有利にするための適応だと考えています。
アジアツノガエルを含むベトナムのカエルのほとんどはよく知られておらず、研究者は迅速な保護の必要性を訴えています。
タプリー氏は、「アジアツノガエルは地球上で最も開発されている森で生活しており、生息地の損失と劣化に苦しめられている」と述べています。
カエルによってオタマジャクシの形が違うから見分けるのが大変なんだよ
他のカエルも保護されるようになるといいね
References: ZSL,DiscoverWildlife