毒蛇注意!WHOが毒蛇による被害者数を半減する計画を発表

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最近は日本でも山にレジャーに行く人が増えてきました。

気楽にゆったりとした時間を過ごせることもあり、週末のキャンプ場は連日にぎわいをみせています。

自然は癒しを与えてくれる存在ですが、その中には私たちにとって脅威となるものも潜んでいます。

 

世界保健機関(WHO)はSnakebites――蛇咬傷(へびこうしょう)――を世界で最も大きい健康問題の一つと考えています。

日本に生息する毒蛇は、マムシ、ヤマカガシ、ハブの3種類ですが、世界にはまだ知られていない種を含む多くの毒蛇が存在しています。

WHOのデータによると、世界では4分ごとに蛇咬傷による死亡事故が起きています。

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2030年までに蛇咬傷による被害を半減させたい

 

WHOの蛇咬傷の専門家であるウィリアムズ博士はこれまで6回毒蛇に噛まれました。

博士は蛇咬傷に役立つ治療法の開発のため世界中を訪れ蛇の毒を集めています。

博士は蛇に噛まれたときのことをこう振り返ります。

 

最初はかなり恐ろしかったです。私の手はハンマーで叩かれたように感じました。

 

博士は6回目の咬傷が致命的なものだったと述懐していますが、彼が命を取り留めることができたのは緊急医療用キットを携帯していたからでした。

しかしこの“幸運”にあずかれる人は世界でそう多くはありません。

WHOの報告によると世界では4分ごとに誰かが蛇に噛まれ、命を落としたり手足の切断を余儀なくされる傷を負っています。

 


 

蛇咬傷は主にアフリカ、アジア、ラテンアメリカの最貧地域にあるコミュニティに影響を与えています。

農民たちは自分たちの生活のため致命的な蛇が生息する地域に分け入り食物を獲得しています。

そこでは大人だけでなく子供たちも蛇の犠牲になっています。

 

こうした事態に対し2つの主要な保健機関である、WHOとイギリスのウェルカムトラスト(医学研究支援等を目的とする公益信託団体)は蛇咬傷に取り組むための措置を講じ始めています。

ウェルカムトラストは新しい治療法と効果的な抗毒薬へのより良いアクセスのためのプログラムに8000万ポンドを投資しています。

またWHOは2030年までに蛇に起因する死者数と障害者数を半減させる計画を立てています。

 

毒蛇による被害者数は深刻

 

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蛇に噛まれることはそんなに危険なことなのでしょうか。

日本では毒蛇はいるものの医療体制が整っていることもありあまり実感がわかないかもしれません。

 

WHOは世界の蛇咬傷の真実を発表しています。

それによると――

毎年270万件の毒蛇に関する事故があります。これには毒が体内に入ることや噴射されることで目に入ったりすることが含まれます。
年間81000~138000人が蛇咬傷により死亡しています。
約400000人が恒久的な障害に苦しむことになります。障害には手足の切断が含まれ、これはその後の生活を維持する上で大きな問題となります。
蛇咬傷は他にも麻痺、腎不全や肝不全、致命的な出血や切断などを引き起こす可能性があります。

 

もちろんこの数は計算できたものだけを含むため実際にはもっと多くの人が蛇に噛まれることによって命を落としたり致命的な傷を負っていることになります。

数字を見るとよりその怖さがわかる蛇咬傷ですが、ではこの被害を逃れるために何ができるのでしょうか。

 

蛇咬傷の被害の実情

 

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ウェルカムトラストの科学部長であるマイク・ターナー氏は蛇咬傷は致命的だが治療可能だと述べます。

 

正しい抗毒素(毒素を中和する能力を持つ抗体の総称)にアクセスすることで生存できる可能性が高くなります。

 

ターナー氏は、現在多くの人が蛇に噛まれて命を落としているが、彼らが死ぬべき理由はない、と語り抗毒素とそれへのアクセスの重要性を強調しました。

しかし残念なことに抗毒素や治療はとても高価なものです。

 

ウェルカムトラストのフィリップ・プライス博士は、本来治療が必要な人に薬が届いていないと言います。

 

治療は高価でありそれらを必要とする人々はしばしばそれを買う余裕がありません。

 

プライス博士は他にも問題があると指摘します。

それは蛇に噛まれた人が治療可能な時間内に病院に運ばれることが少ないことと、仮に病院に運ばれたとしても医師が適切な治療を施す知識や経験がない場合があるということです。

また被害者が西洋医療ではなく土着の伝統的な治療法やヒーラーの手を借りることもあり、その実態は決して表に出ることはありません。

 

貧しい国の人たちの間で起きているこうした蛇咬傷の実態は、世界の人々がこの問題に対して意識を持つ機会を遠ざけています。

 


 

抗毒素による治療は100年以上にわたって行われてきました。

これは馬の血に蛇の毒を少量植え付けそこでできた抗体を使うというものです。

 

しかしこの方法にも欠点があります。

それは現在ある抗毒素の数が、世界で必要とされる数の3分の1しか生産されていないことです。

そしてさらに問題となるのが、抗体を患者に注射しても効果がない場合があるというものです。

その理由は、抗体は全ての蛇毒に効くわけではなく、毒蛇の種類の数だけ新しい抗体が必要になるためです。

例えばアフリカでは利用可能な抗毒素の最大90%が無効であると考えられています。

 

こうした状況はWHOが目指す計画を頓挫させかねません。

本当にあと10年足らずで蛇咬傷の被害を半減させることができるのでしょうか。

 

蛇咬傷の被害をなくすための試み

 

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ウィリアムズ博士は目標はそれほど難しいものではないと述べています。

それはこれまで行ってきた活動が一筋の明かりを照らしているからです。

 

パプアニューギニアでは蛇咬傷に関する教育や治療について何十年もの活動がなされてきました。

 

2003年にパプアニューギニアでは蛇に噛まれた子供の4人に1人が死亡しました。しかし現在では50人に1人未満となっています。

 

ウィリアムズ博士は、これはロケット科学ではない、と語ります。

 

蛇咬傷の被害を防ぐためには安全で効果的な抗毒素、訓練を受けた医療従事者、蛇咬傷を予防するための方法、そして噛まれたときの対処法について教えられるコミュニティを持つことです。

 

WHOは今月末にジュネーブで開催される世界保健総会で、蛇咬傷による死亡と障害を減らすための戦略を発表する予定になっています。

 

 

 


 

データでは貧しい国や農村地域ほど蛇咬傷の被害が多くなっています。

日本では滅多にあることではありませんが注意をするに越したことはありません。

自然の中で過ごす場合には自分たちが訪問者であることを意識してその土地に住む動物について知っておくことが重要です。

 

蛇の毒を集めるために世界中を周る科学者たちの努力が報われ、多くの人が蛇咬傷の被害から救われるようになることを願います。

 

 

References:BBC

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