恐竜時代の生き残り――神秘的なサメ、カグラザメにカメラが最接近!

深海にはまだまだ知られていないサメの仲間が生息しています。

カグラザメ(Bluntnose Sixgill Shark)もそのうちの一つです。

カグラザメは水深200mから1500mまでの深海に住むサメで、体長は大きいもので6mにも達する巨大なサメとして知られています。

またカグラザメの祖先は1億8000万年以上前にさかのぼる系統に属していることから、彼らは6600万年前の大量絶滅期を生き残った数少ない恐竜の生き残りと考えられています。

しかしカグラザメは深海魚であるがゆえに目撃情報が少なく、また研究も進んでいない謎に満ちたサメでもあります。

外見からは、かつて存在していた巨大なサメ“メガロドン”を彷彿とさせるような不気味さと冷酷さを醸し出しているカグラザメですが、今回のフロリダ自然史博物館の研究者による近接撮影は、彼らの持つ好奇心と愛嬌を私たちに伝えてくれています。

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カグラザメは恐竜時代の生き残り――しかしほとんど研究が行われていない

 

フロリダ自然史博物館の研究者であるDean Grubbs氏と、バハマの研究機関ケープエルーセラ研究所(Cape Eleuthera Institute)の研究者、Brendan Talwar氏とEdd Brooks氏が率いるチームは、今年の6月、カグラザメに潜水艦から追跡用のタグを打ち込むミッションを開始しました。

ミッションは、科学者、科学機関、メディア企業、および慈善団体への海洋研究を支援している慈善団体OceanXの協力のもと行われました。

OceanXの潜水艦「Nadir」には、Grubbs氏の共同研究者の一人で、フロリダサメ研究プログラムのディレクターGavin Naylor氏が乗っていました。

彼はGrubbs氏が長年研究し、OceanXのチームと共同で作成した追跡用の衛星タグをカグラザメに打ち込む役目を担っています。

 

潜水艦はバハマのエルーセラ島の沖で調査を開始し、水深1000m地点で全長4.9mもある雌のカグラザメと遭遇します。

 

何か巨大な生き物が……

 

Naylor氏はその大きなカグラザメを「まるで水の中でT.REXを見ているかのようだ」と表現しました。

 

この系統はヒトの古代の祖先であるホモエレクトスの100倍もの間存在してきましたが、これらのサメはそれほど変化していません。

 

今回の調査で潜水艦には乗っていなかったものの、追跡タグの技術を提供したGrubbs氏は、カグラザメがホホジロザメのような人気のサメと比べてほとんど知られておらず、また研究の観点からも注目されてこなかったと語ります。

 

私がそれを研究したいと言ったとき他の科学者はそうする方法がないと言いました。私はこれを彼らが間違っていることを証明するための挑戦とみなすことにしました。

 

Grubbs氏の15年以上に及ぶカグラザメへの熱意は、OceanXとの協力により花開くことになりました。

 

Massive Deep-Sea Shark Checking Out Our Submarine

 

映像の中のカグラザメは一見すると凶暴な性質を持った人食いザメのように感じますが、すぐにそれがこちらの思い込みであることがわかります。

 

これは人食いザメと思われても仕方がないほどの迫力!

 

潜水艦に興味津々のご様子

 

意外とかわいい?ぱっちりお目目

 

それにしてもデカい!(右に写っているのは潜水艦の一部)

 

深海にやってきた得体の知れない鉄の塊に興味津々のカグラザメは、どこか人間の子供を連想させるほどユニークでチャーミングです。

 

潜水艦を操縦していたNaylor氏は「彼女はとても優しかった」とカグラザメとの遭遇を振り返ります。

 

彼女は私たちを勉強していました。サメが好奇心を持っているのを見るのは嬉しいことです。私たちだけが評価をしていると考えるのは傲慢ですから。

 

結局この雌のカグラザメは潜水艦に近すぎたため追跡タグを付けることはできませんでしたが、その後別の雄のカグラザメが現れ、無事追跡タグを付けることができたということです。

 


 

追跡タグはサメのいる水深と、周囲の光と温度などを3分毎に記録します。

タグは3か月後には自然に外れて海面に浮上し、保存されたデータは衛星リンクに送信されます。

保存されたデータは、この先史時代からの生き残りであり、生きた恐竜ともいえるカグラザメの生態を理解する助けになることでしょう。

 


 

映像の中のカグラザメが潜水艦との遭遇を楽しんでいるように見えるのがなんとも微笑ましくなってきます。

サメというと、怖いとか危険というイメージがありますが、こうした映像を見ることで彼らの別の側面を知ることができます。

場所は違えど同じ地球に生きる生き物同士、仲良く……できるかどうかは別としても、お互いを知る努力はしていきたいものですね。

 

 

References:FloridaMuseum