南アフリカのケープタウン北部にあるダムからフラミンゴのひなおよそ2,000匹がボランティアの手によって救出されました。
南アフリカは去年から大規模な干ばつに見舞われその影響が現在でも各地に及んでいます。
救出されたフラミンゴたちは南アフリカ最大の個体群の1つです。
コフラミンゴのひなたちは順調に回復中
南アフリカの沿岸鳥類保護財団(SANCCOB)のボランティアたちはキンバリー近郊にあるKamfersダムからコフラミンゴ(Lesser Flamingo)のひな約2,000匹を救出しました。
ダムは水位が大幅に下がり親鳥たちは卵から孵ったばかりのひなたちを置いていってしまいました。
コフラミンゴは生息地の減少や水質汚染などの影響で年々その生息数が減っています。
貴重な種を守ろうと、SANCCOBをはじめとしたボランティアたちがコフラミンゴのひなを安全な場所に移動させています。
SANCCOBのリサーチマネージャーKatta Ludyniaさんによると、救助されたひなたちの多くが脱水症状に陥っていて、また卵から孵ったばかりの個体もいるため健康状態はよくありません。
しかし今は卵黄や乳児用調整粉乳、エビや魚、そして水分補給のための電解液などを与えられ、ヒートランプの明かりで暖められています。
On #WorldWetlandsDay the rescued #kamfersdam #FlamingoChicks are getting access to water baths to bath & preen and learn to eat & drink to eventually reduce hand-feeds. Daily improvement. Donate at https://t.co/jaYTcsj15O for meds & rehab. Weak chicks in high-care @CapeNature1 pic.twitter.com/Dse7c85b7v
— SANCCOB (@SANCCOB) 2019年2月2日
雛たちが野生に戻るには3~4か月かかる見通しです。
干ばつがもたらす水不足とひなを救う行動の意義
保育器の中でヒートランプをあてられるコフラミンゴのひなたち Credit:Youtube
南アフリカの保護団体であるBirdlife South Africaによると、Kamfersダムは3つのバイオーム(生物群系)の交差点に位置しています。
砂漠地帯、草原地帯、低木地帯の3つが重なるダムは多くのコフラミンゴを集めました。
また周囲に湿地帯がないため、Kamfersダムはフラミンゴ以外の鳥類も集ういわば鳥たちの楽園でした。
2006年には少なくとも63種類の水鳥が確認されていて、ダムには定期的に2万羽以上の鳥たちが生息していました。
しかしこのところの干ばつによりダムの水位が下がってしまいました。
ケープタウンでは市民に対して「DayZero」に備えるように警告しています。
DayZeroとは断水のことですが、2018年の極端な水不足によりそれは現実一歩手前まで進行しました。
今のところすんでのところで回避できていますが、結局のところ断水を回避するには雨が降るしかありません。
今回ボランティアたちがコフラミンゴのひなを救ったことに対しては疑問の声をあげる人たちもいます。
Birdlife South AfricaのCEOであるMark Anderson氏は、どんな専門的な知識の元にひなたちを救出したのか、またそれを決定したのは誰なのか?と責任の所在について追及しています。
自然に介入することで予期できない事態を招きかねないとするAnderson氏の主張はもっともですが、ボランティアたちは自分たちの行動について信念を持っているようです。
SANCCOBのリハビリマネージャーNicky Standerさんは、ダムに放置されたフラミンゴのニュースを聞いたことで行動を起こしたと語ります。
彼らをリハビリして自然に返すことが私たちの役目です。ここには昨年建てられた大きな施設があります。そして私たちはこのプロジェクトに貢献できる最高の人材だと考えています。
Standerさんたちは食料や現金の寄付、そして被害にあったフラミンゴにエサを与えるボランティアを広く募集しているということです。
水が不足するというのは人間にとっても死活問題です。
自分だけで精一杯なはずなのに動物たちのためにも手を差し伸べることのできるボランティアの皆さんには本当に頭が下がります。
一方それをしたことで別の問題が発生するかもしれない、という指摘に十分な理があるのも確かです。
水不足はコフラミンゴなどの動物だけでなく、人々の自然に対する考え方にも影響を与えています。