オーストラリアを襲っている森林火災は、野生動物の住処と命を奪い続けています。
オーストラリア南東部のニューサウスウェールズ州では、記録的な熱波の影響により各地で森林火災が発生し、近隣住民だけでなく、一帯を生息地とするコアラなどの野生動物たちをも混乱に陥れています。
オーストラリアの環境大臣であるスーザン・レイ氏は12月27日の会見で、ニューサウスウェールズのコアラ最大8,400頭が山火事により命を落とした可能性があると述べました。
レイ氏は国営のABCラジオに対し「生息地の30%が破壊された」と現在の状況を説明し、火災が沈静化すればもっと多くのことがわかるだろうと語りました。
オーストラリアでは、11月に北中部の海岸地域で火災が発生し、その後ニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州、ビクトリア州、西オーストラリア州へと次々と燃え広がっていきました。
ニューサウスウェールズ州では現在でも火の勢いが収まっておらず、各地で消火活動や野生動物の救出活動が続けられています。
火災による影響は全国で500万ヘクタールに達していて、これまでに9人が死亡し、ニューサウスウェールズ州だけで340万ヘクタールが火の海に包まれました。
ニューサウスウェールズ州には推定15,000~28,000頭のコアラが生息しています。
環境大臣はコアラの30%が死亡した可能性があると報告していますが、実際の犠牲はもっと増える可能性があります。
12月にはニューサウスウェールズ州政府の調査で、数千頭のコアラが火事によって命を落としたことが伝えられています。
スポークスマンは、火事の勢いが衰えずいまだ沈静化する見込みがないことから、「私たちはおそらくコアラの死体を見つけることはないだろう」と語っています。
コアラを救出する消防隊員 Photo: NSW RFS – Hawkesbury District/Facebook
コアラは樹上生活をする動物です。
火災による森林の消滅は彼らの生息地の減少を意味します。
しかしコアラは火災によってのみ命を落としているわけではありません。
オーストラリアの絶滅危惧種科学委員会(Threatened Species Scientific Committee)は、今年起きたコアラの個体数の減少の前に、既に1990年から2010年の間に個体数が42%減少していると報告しています。
ニューサウスウェールズの自然保護協議会(Nature Conservation Council)のジェームズ・トレメイン氏は、コアラの減少が“ゆっくりと静かに”起きていると話します。
トレメイン氏は、過去20年間でコアラの数が継続的に減っている現状があるとし、土地の開墾や木材の伐採などがコアラの住む森林を破壊し、また近年進みつつある気候変動による温度の上昇が間接的な影響を与えていると指摘しました。
気候変動による影響については環境大臣も言及しており、金曜日の会見でスーザン・レイ氏は、政府が気候変動問題に対し十分に取り組んでいることを強調しています。
レイ氏は、「オーストラリアは実際に行動を起こすことで違いを生み出している」と話し、現在現場でできることに焦点を当てているところだと説明しています。

地面に落ちたコアラは熱くてもまた木に登ろうとするみたい。なんとかして助けてあげたいな

早く火が消えてくれないとコアラが絶滅しちゃうよ~
References:The Guardian