捕まってはその都度脱走を繰り返してきたイタリアのヒグマが再び捕獲されました。
無実の罪で投獄され最終的に脱獄を果たす人物を描いたスティーブ・マックイーン主演の映画から、「パピヨン」の名で呼ばれるそのヒグマは、7月27日にイタリアのトレントにある保護施設を脱走した後、行方が分からなくなっていました。
9月7日に発表された州の声明によると、パピヨンことコードネーム「M49」は、トレントから約70キロ離れた東アルプスの森でトラップにかかり、42日間におよぶ逃亡生活を終えました。
体重149キロでオスの4歳のヒグマであるパピヨンは、これまでに少なくとも3回は脱走しており、捕獲される度に厳重な囲いの中に戻されてきました。
囲いには電流が走る柵が設けられており、また首輪には行動を監視するための無線が取りつけられていましたが、パピヨンはそれらをものともせず脱走を繰り返しました。
パピヨンの最初の捕獲命令は2019年6月に出され、このときは「人に危害を加えるおそれがある」として発砲も許可されました。
捕まったパピヨン (Credit: Provincia autonoma di Trento)
アルプス地域の野生のヒグマの数は壊滅的で、長年にわたって保護や再導入プログラムが行われてきました。
トレントでは1999年に再導入が始まり、現在の個体数は、当時の4頭から100頭近くにまで回復しています。
増え始めたクマは当初、森に分散していくものと考えられていました。
しかし実際は狭い範囲にとどまっており、やがて家畜を襲うなどの被害が出るようになりました。
近年は人間に対する襲撃も報告されており、自治体は、糞や毛、唾液などからDNAのデータベースをつくり、監視カメラの映像と照合するシステムを構築しています。
パピヨンの今後の処遇についてはトレントの自治体によって決まる見込みですが、動物保護団体や環境大臣は、クマを処分しないよう強く求めています。
イタリアのセルジオ・コスタ環境大臣はクマの捕獲について、「クマを犯罪者のように扱ってはならず、捕獲するというやり方には全面的に反対する」と述べ、「私はパピヨンの味方である」と付け加えています。
また国際動物保護機関OIPAのトレント代表であるオルネラ・ドリガッティ氏は、ハンガーストライキを行うことを決定し、「私たちはクマを救わねばならず、M49が解放されるまで戦う」と決意を述べています。
パピヨンはこれまでに数頭の家畜を襲っていますが、少なくとも人間は傷つけていません。
パピヨンは野生のクマだから森で生活したかったんだね
共存できるのが一番だが相手がクマだとそう簡単にはいかないな
References: CNN,The Guardian