ボツワナの野生動物局は7月1日、数百頭ものゾウが謎の死を遂げたと報告しています。
ゾウが発見されたのは、ボツワナ北部のカラハリ砂漠にあるオカバンゴ・デルタで、これまでに350頭以上の死体が確認されています。
ボツワナには推定13万頭のゾウが生息しています。
ゾウの死亡はイギリスを拠点に活動する慈善団体ナショナル・パーク・レスキューのナイル・マッキャン博士たちのチームによって5月初めに報告されました。
デルタ上空の3時間の視察では、169頭のゾウの死骸が発見され、1カ月後にはさらに多くの死体が見つかりました。
ナショナル・パーク・レスキューはゾウの死亡についてボツワナ政府に報告しましたが、未だ死の原因については特定されておらず、サンプルの調査結果が出るのも数週間後の予定となっています。
ボツワナの野生動物局と国立公園の局長代理であるシリル・タオロ博士は、これまでに275頭のゾウの死亡を確認し、残りについても現在調査中であると述べ、また死亡したゾウから収集されたサンプルは、南アフリカ、ジンバブエ、カナダの専門家の元に送られたと説明しています。
大量死の原因は密猟ではなく中毒や病気の可能性
地元住民の目撃情報によると死亡したゾウは水場の周辺で多く確認され、死ぬ前にはその場をグルグルと回る、神経系の異常を示す症状が見られました。
また今生きているゾウの中には弱っているものもおり、今後死亡数はさらに増えるおそれがあります。
マッキャン博士は調査について、「3時間のフライトで169の死体を発見し、その多くを見て数えることができたのは驚きだった」と振り返り、「干ばつを除いてこれほどの大量死が起こるのは前例のないことだ」と述べています。
死体には牙が残っていたため、密猟で使われるシアン化合物は死亡の原因として除外されました。
シアン化合物が使われた場合他の動物の死体も発見されるはずですが、今回のケースではゾウだけが死んでいます。
マッキャン博士はゾウの死亡の原因について、神経系に作用する中毒や病気の可能性を指摘しています。
またはっきりとした原因が特定されていないことから、「これはゾウの保全に対する災害だが、公衆衛生上の危機になる可能性もある」と述べています。
最新のデータは、野生動物の保護団体である「Elephants Without Borders (EWB-国境なきゾウたち)」によって報告されています。
EWBはここ3カ月の間にゾウの死亡数が急激に上昇していると指摘し、7月1日までに確認された356頭のゾウのうちの70%が直近の1カ月、残りの30%が直近の2週間で死亡したとしています。
EWBの設立者であるマイク・チェイス氏は、「全ての年齢と性別のゾウが死んだことを示す証拠がある」と述べ、また何頭かの生きているゾウについては、「弱く無気力で衰弱しているように見え、足を引きずったり歩行ができない状態にある」と説明しています。
早く原因を特定しないと大変なことになっちゃうよー
解決策が見つかって一頭でも多くのゾウが救われてほしいね
References: Phys.org,The Guardian