実際の体重はほぼ半分 絶滅したフクロオオカミはそれほど危険な動物ではなかった

動物
(Thylacine Benjamin/Public Domain)

かつてオーストラリアのタスマニア島に生息していた「フクロオオカミ (タスマニアタイガー)」は、人間の手によって絶滅しました。

フクロオオカミは有袋類の捕食者としては世界最大であるとされ、羊を飼育している農家たちから目の敵にされました。

駆除には懸賞金さえ出るようになり、個体数は急速に減っていきました。

フクロオオカミは1936年、ベンジャミンと名付けられた最後の一頭が死亡し完全に地球から姿を消しました。

 

現在知られているフクロオオカミに関するデータのほとんどは、当時の新聞や刊行物からのものです。

彼らは家畜を襲う厄介者として絶滅に追いやられましたが、実際にどれほどの脅威があったのかはよくわかっていません。

 

オーストラリアの研究者は、世界中に展示されている骨格やはく製を使って3Dモデルを作り、フクロオオカミの大きさを再検証しています。

新たに判明したフクロオオカミの体重は、彼らが家畜にとってそれほど危険な存在ではなかったことを明らかにしています。

 

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フクロオオカミは小型の肉食動物だった

 

オーストラリアのモナシュ大学の研究チームは、93頭のフクロオオカミの3Dデータから、この動物がいままで考えられていたような大型の肉食動物ではなく、ほぼ半分の体重しかない小型の肉食動物だったと報告しています。

 

動物の体重は、その種がどういう捕食行動をするのかを決定づける重要な要素です。

通常、体重が21kg以上ある大型の肉食動物は、自分の体の半分以上の獲物を狙います。

これは狩りの成功率と消費するエネルギー、そして獲得できる栄養とを天秤にかけたうえで導き出された自然の選択です。

一方で体重が14.5kg以下の小型の肉食動物はエネルギーをあまり消費しないため、成功率が低くても小さな獲物を頻繁に狙う手法を選びます。

 

フクロオオカミの体重についての記録はほとんど残っておらず、現在よく使われる「平均体重29.5kg」という数値は、19世紀の新聞記事に基づいています。

もしこの体重が正しければ、フクロオオカミは「大型の肉食動物」であり、ワラビーやカンガルー、羊といった自分の体の半分以上の獲物を狩っていたことになります。

しかしフクロオオカミの頭蓋骨の大きさや顎の形状は、大きな獲物を狩るのに十分ではなく、むしろ小型の獲物を狩るのに適しています。

研究チームは、フクロオオカミが29.5kgもの体重であれば小さな獲物では足りないはずであると考え、改めて体の大きさについて調査することにしました。

 

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誤った情報がフクロオオカミの絶滅に拍車をかけた

 

Proceedings of the Royal Society Bに掲載された研究では、世界中の博物館に展示されているフクロオオカミの骨格やはく製を3Dスキャンし、手足の太さに基づいた新しい方程式を使って体重を求めています。

手足は体を支える部分であるため、体重を予測するのに適しています。

コンピューター上に再現されたデジタルのフクロオオカミは、体重を求める方程式を使って肉付けされました。

 

体重はコンピューター上に再現した骨格に肉付けをして求められた (Credit: Douglass Rovinsky)

 

フクロオオカミの体重は元のデータの違い(骨格かはく製か)によって変わりましたが、全ての平均は、19世紀のものよりも著しく異なりました。

平均的なフクロオオカミの体重は、29.5kgではなく「16.7kg」でした。

この体重は、フクロオオカミが小型の肉食動物だったことを示しています。

 

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研究を主導したモナシュ大学のダグラス・ロビンスキー氏は、19世紀の刊行物を元にしたフクロオオカミの体重は、実際の80%増しであり、これはフクロオオカミをより危険に見せるための誇張表現だった可能性があると指摘しています。

 

フクロオオカミは人間やオオカミよりもはるかに小さかった (Credit: Douglass Rovinsky)

 

フクロオオカミは1840年代にはすでに懸賞金付きで駆除が行われており、1880年代になると政府も駆除を後押しするようになりました。

人々のフクロオオカミに対する敵意は、誤った情報を元に作られました。

 

ロビンスキー氏は、「フクロオオカミは以前に考えられていたよりもはるかに小さく、農家の羊にとってそれほど危険な存在ではなかったかもしれない」と述べています。

 


 

 

ふうか
ふうか

当時の新聞はフクロオオカミが大きくて危険な動物だと書いていたようだ

かなで
かなで

情報が正しく伝わってれば絶滅しなかったのかもしれないね

 

References:The Conversation

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