ヴィーガンの食生活を短期間だけ取り入れる「ヴィーガニュアリー (Veganuary)」の参加者が、2021年の最初の数日で50万人を突破しました。
ヴィーガニュアリーは、動物性食品を避ける「Veganism (ヴィーガニズム)」と「January (1月)」を組み合わせた造語で、一か月間ヴィーガン食を試すことで、動物や環境を苦しめる畜産と、自身の健康について考えようというグローバルキャンペーンです。
2014年の開始以降、理念に共感する人の数は増え続け、2020年には40万人以上が参加を表明しました。
参加者の4分の1が住むイギリスでは、ヴィーガニュアリーを販売機会ととらえる企業も現れており、今年は流通大手のテスコを含む多数のスーパーマーケットが広告を出し、レシピを載せた専用ページを作成しました。
動物や環境を守るヴィーガン食、一方で課題も
ヴィーガン食に対する関心の高まりは、肉食がもたらす環境への負荷が知られるようになってきたことが背景にあります。
牛、豚、鳥といった畜産では、出荷するまでの過程で多大なエネルギーが使われます。
特に牛の生産は、飼料のほかに広大な土地と豊富な水が必要で、また牛自体が、温室効果ガスであるメタンを大量に排出します。
牛肉は地球の資源を消費してようやく作られるものですが、口にできるのは限られた裕福な人たちだけです。
スイスの銀行UBSが行った肉の代替品に関する調査では、近年多くの消費者が、植物ベースの商品を試すようになっています。
イギリス、アメリカ、ドイツでは、2020年の3月から11月までの間に、代替品を試した人の割合が48%から53%に上昇しました。
これらの人の半数は、現在でも、週に一度は代替品を食べています。
ヴィーガニュアリーのトニ・ヴェルネッリ氏は、「植物ベースの食事は、もはや物議をかもすものではありません。既に多くの人が環境上の理由から、動物性食品を減らす必要性を受け入れています」と述べています。
植物ベースの食事は、人類と地球の未来に良い影響を与えますが、肉食をやめるのは簡単なことではありません。
フェイクミートや細胞から作られた培養肉は、味や価格の面で本物に太刀打ちできず、ヴィーガン食の継続には通常の食事以上のコストがかかります。
UBSの調査では、植物ベースの代替品を嫌う理由として、「味がよくない」、「加工されすぎ」、「高い費用」などが挙がっています。
UBSのアンドリュー・ストット氏は調査結果について、「植物ベースの肉の勢いが増していることを示している」と述べる一方、「多くの人にとって、味は重要な問題である」と指摘しています。

環境にやさしくてもいきなりヴィーガン食に変えるのは勇気がいるね

おいしくて手頃な価格にならないと広く受け入れられるのは難しいかもしれないな
Reference: The Guardian