親や教師の「ステレオタイプ」の考え方は実際に子供たちの行動に影響を与える

雑ネタ
(FrancineS0321/Pixabay)

ドイツの心理学者のグループは、子供たちの性別の違いによる「ステレオタイプ」が、親や教師だけでなく、教室の環境によっても補強されていることを発見しています。

ステレオタイプは国や地域によって様々な形があるものの、世界的に共通しているのは、男の子は読書が苦手、女の子は数学が苦手というものです。

親や教師がステレオタイプを無意識的に信じている場合、それは子供たちの行動や成長に少なからず影響を与えます。

新しい研究は、教室全体がステレオタイプに染まっていると、子供たちの行動もそれに影響されることを明らかにしています。

 

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親や教師がステレオタイプを信じているほど子供たちは型にはまる

 

ドイツのハンブルク大学のフランチェスカ・ムントーニ(Francesca Muntoni)氏たちの研究グループは、ドイツの5年生から6年生までの1,500人の学生を対象に、読書能力に関するアンケートと実際の読み書き能力の測定を行っています。

研究では最初にステレオタイプに関するアンケートを実施し、生徒たちに、自分に読み書き能力があるのかや、読書意欲などについて回答してもらいました。

そしてアンケート実施から1年半後、読み書き能力や読書を楽しいと感じるかなどについて改めて調査を行いました。

その結果、最初のアンケート時にステレオタイプを信じていた生徒ほど、それに影響された行動をとっていることが明らかになりました。

「男の子は読書が苦手である」というステレオタイプを信じていた生徒は、実際に読み書きテストの成績が悪く本を読む意欲も低いままでした。

またこの傾向は、クラス全体がどれだけステレオタイプを信じているのかに比例していました。

ステレオタイプの考えが浸透しているクラスの男の子の読書意欲は、女の子が読書をしている場合、特に低下しました。

ムントーニ氏は、「読書は女性の領域としてステレオタイプ化されている」とし、その考え方は実際に、教室の男の子の読書意欲を低下させると述べています。

 

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ステレオタイプを変えるのは難しい

 

子供のステレオタイプに関する過去の研究では、親たちの多くが、ステレオタイプに沿ったおもちゃを子供に与えそれで遊ぶことを期待しています。

この研究では教育現場そのものがステレオタイプを信仰していることが示されており、教師自体が、女の子は言語や芸術、男の子は数学や科学を学ぶべきだと考えていることが明らかになっています。

2015年に行われた別の調査では、教師がステレオタイプの信念を持っていた場合、幼稚園の男の子の読む意欲が低く、それは1年後でも変わらないという結果が出ています。

また2016年の研究では、親のステレオタイプの影響が、思春期の女の子の数学能力に影響を与えている例が確認されました。

 

Child Developmentに掲載された研究の著者の一人で、ハンブルク大学の心理学教授であるヤン・レテルスドルフ(Jan Retelsdorf)氏は、「ステレオタイプを変えるのはとても難しい」と述べつつも、教師と保護者が個人の成長に焦点を当てることで、生徒の読み書き能力や意欲に影響を与えることはできるとしています。

レテルスドルフ教授は、「大人はモデルにならなければいけない」と述べ、父親は息子とサッカーをするだけでなく、一緒に本も読むべきであると付け加えています。

 


 

 

せつな
せつな

ステレオタイプの考え方は子供の可能性に蓋をするのと同じ……

しぐれ
しぐれ

子供にはその子の好きなことをやらせてあげてほしいね

 

 

 

References: CNN