NASAは5月11日、探査機「オシリス・レックス」が小惑星ベンヌを飛び立ったと発表しました。
オシリス・レックスはサンプルリターンを目的とした無人探査機で、2018年にベンヌに到着し、2020年10月に約60グラムの塵の採取に成功しました。
地球近傍天体からのサンプルリターンは、イトカワとリュウグウから試料を持ち帰った「はやぶさ」、「はやぶさ2」に次ぐものです。
オシリス・レックスはベンヌを離れた後、太陽を2回周回し、2023年9月24日に地球に帰還します。
After nearly 5 years in space, @NASASolarSystem‘s #OSIRISREx mission is heading to Earth with a sample of rocks & dust from a 4.5-billion-year-old asteroid!
— NASA (@NASA) May 10, 2021
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Check out how its mission #ToBennuAndBack exceeded our expectations: https://t.co/91n38cmQNA pic.twitter.com/bxtT0uXeu3
オシリス・レックスは日本時間5月11日の午前5時23分、メインエンジンを噴射し、時速約1000kmのスピードでベンヌを飛び立ちました。
出発日は、地球とベンヌが最適な位置関係になる日が選ばれました。
これは地球への帰還時に、サンプルの入ったカプセルを最適な角度で大気圏に突入させるためです。
オシリス・レックスは地球から1万km離れた地点からカプセルを投入し、その後は次のミッションのため、別の小惑星に向かいます。
オシリス・レックスがサンプルを採取するまでには多くの困難がありました。
科学者は当初ベンヌを、比較的平らな天体であると見積もっていました。
しかし到着後すぐに、表面がデコボコであることが判明し、さらには、小さな岩石の破片が宇宙空間に向かって放出していることも明らかになりました。
ミッションチームは、探査機に被害が及ぶのを防ぐため、プログラムやナビゲーションシステムに変更を加え、サンプルを採取する場所も慎重に選び直しました。
オシリス・レックスの副主任研究員であるヘザー・イーノス氏は、「ベンヌには開けた場所があるものと思っていましたが、現実はとても衝撃的でした。今回のミッションは、私たちが科学と探査を、複数の方法で行う必要があることを示しています」と述べています。
サンプルの入ったカプセルは、オシリス・レックスから切り離された後、ユタ州にある試験訓練場に着地する予定です。
万が一放出に失敗した場合、カプセルは直ちに地球から遠ざけられ、2025年に改めて投入が行われます。
オシリス・レックスは電力消費を抑えるためにカメラの電源を切ったそうだ
次のミッションではどの小惑星に行くのかな?
Reference: NASA