ニュージーランドの島でバンドウイルカとの遊泳が禁止される、人間が“イルカを愛しすぎている”ため

ニュージーランド自然保護局(Department of Conservation-DoC)は、人気の観光スポットであるベイ・オブ・アイランズに訪れる観光客があまりにも“イルカを愛しすぎている”としてイルカとの水泳を禁止することを決定しました。

これはイルカの頭数が観光客との接触により減ってきていることから行われる措置で、2019年7月1日から発効し、今後ベイ・オブ・アイランズを訪れる観光客はイルカと一緒に海を泳ぐことができなくなります。

スポンサーリンク

 

これまでニュージーランドの北にある島ベイ・オブ・アイランズでは、観光客はバンドウイルカと一緒に海を泳ぐことができました。

しかしDoCの調査によると島に訪れるバンドウイルカの数が年々減ってきており、現在では19頭のイルカで構成される1つのグループしか確認されていません。

また湾に生息しているバンドウイルカの子供の死亡率は75%を超えており、これは飼育下および野生におけるバンドウイルカの死亡率で最も高い数値です。

 

Photo by Ken Lund/Flickr

 

ニュージーランドの海洋哺乳類の保護規則の元では、既にバンドウイルカと人間との接触を制限する規制が設けられていて、2009年からは限られた5つの業者のみがツアーを組むことができました。

しかし最近のバンドウイルカの生息数データは、この制限が不十分であることを明らかにしました。

DoCは人間とバンドウイルカとの接触はイルカの休息と摂食行動に大きな影響を与えているとし、人間が“イルカを愛しすぎている”ことが問題の根底にあると指摘しています。

 

今後ベイ・オブ・アイランズを訪れる観光客はバンドウイルカと泳ぐことはできなくなり、船上から観察する場合も一度のツアー中に20分だけの制限時間が設けられるようになります。

またいくつかのバンドウイルカが出現するエリアは閉鎖されるということです。

 


 

動物との接触は観光客を呼び寄せるための有効な手段の一つですが、最近は世界中の国々が商業的利益よりも保全を優先するようになってきています。

例えばカンボジアのアンコールワットでは2020年にゾウを使った移動手段を取りやめることが決定しています。

またハワイではハシナガイルカとの水泳を禁止する法律が導入される予定です。

 


 

イルカは非常に好奇心の強い動物で、人間やボートに近づくのをやめない例が各地で報告されています。

フランスのブルターニュにあるビーチではイルカが人間を傷つけていたことがわかり、2018年以降遊泳が禁止されることになりました。

今回のDoCの措置は、お互いの領域を守るという点で、人間にとってもイルカにとってもベストな選択肢と言えるのかもしれません。

 

 

 

Source:DoC,BBC