自然や生き物を守ろうとする考え方は子供時代に形成されます。
多感な時期に山、川、海で遊んだ経験は、自然や生態系の破壊といった環境問題について真剣に取り組む姿勢を育みます。
しかし現代の子供たちにとって自然はどこか遠いものであり、生き物を知る機会のほとんどはテレビやゲームの中にしかありません。
アメリカとオーストラリアの研究者は千人以上を対象にしたアンケート結果から、子供が屋外で一人で過ごす経験は、自然との結びつきを強固にすると報告しています。
近い将来、地球環境の劇的な変化を防ぐのは、自然との深い絆を獲得した世代かもしれません。
屋外での一人の活動は子供の自然とのつながりを強化する
アメリカのノースカロライナ州立大学とオーストラリアのメルボルン大学の研究者は、アメリカ南東部に住む9~12歳までの子供たち1,285人を対象に、外での過ごし方に関するアンケート調査を実施しています。
質問には、釣り、狩り、ハイキング、キャンプ、スポーツなどを行ったかどうかや、自然や生き物についてどのように感じているか、またさらに知りたいと思うかといったものがありました。
回答データは、子供の自然との結びつきの強さを測定するために使われました。
アンケート結果は、屋外で一人の時間を過ごした子供ほど、自然とのつながりを強く感じていることを示しました。
特に「釣り」と「狩り」は、自然とのつながりを最も強化していた活動でした。
アンケートでは家族や仲間といった他者と自然で過ごすケースについても質問されています。
しかし屋外で他者と過ごした時間は、一人で過ごした場合ほど、自然とのつながりの強化に貢献しませんでした。
The Journal of Environmental Educationに掲載された研究の著者の一人である、ノースカロライナ州立大学のキャスリン・スティーブンソン氏は、「自然との強いつながりを築く方法には特定の活動の組み合わせがあるが、重要な出発点は、外に出て一人で活動することだ」と述べます。
アンケートでは、一人で釣りや狩り、ハイキングをしていた子供が、集中状態にあったことが示されています。
他者の助けを得られない子供は、自然と真剣に向き合うことで問題を解決する術を学びます。
一人で考え行動に移すそうした経験は、子供に自然への畏怖と尊敬の念を抱かせます。
スティーブンソン氏は、「外で時間を過ごし自然とのつながりを築くことには様々なメリットがある」と指摘し、子供が自然に対して親しみと心地よさを感じていれば、将来それを守りたいと思うようになると話しています。
自然に親しみを感じる子供は、環境問題の解決に大きな役割を果たす可能性があります。
過去の研究では、バードウォッチャーや狩りを行うハンターが、積極的な保全活動を行う傾向にあることが示されています。
多感な時期に自然と深く接した経験は、子供たちの環境に対する意識を決定的に変えます。
スティーブンソン氏は、「現在自然と関わる仕事に就いている人の多くが、子供の頃にお気に入りのハイキングコースを歩いたり、家の側の小川でアウトドアを楽しんだ経験を持っている」と述べ、このような有意義な経験は、その後の人生のモチベーションにつながると強調しています。
かわいい子には自然での活動をさせよ、ということだな
自然や生き物を好きになる子供が増えていってほしいね
References: ScienceAlert