フランスのパスツール研究所とアメリカのコロンビア大学、および世界保健機関とルワンダ生物医学センターの科学者は、ルワンダでマラリアに感染した257人の血液を採取し、そのうち19人にアルテミシニンに耐性を持つ原虫が含まれていたと報告しています。
アルテミシニンは、薬剤耐性を持つ寄生虫にも高い効果を発揮する最前線の抗マラリア薬です。
アルテミシニンに耐性を持つマラリア原虫がアフリカ地域で確認されたのは初めてのことです。
突然変異したアフリカのマラリア原虫
マラリア原虫はこれまでにも多くの特効薬の効き目を無効にしてきました。
最初のマラリア治療薬である「クロロキン」が開発されたとき、科学者はマラリアの数年以内の根絶を確信しました。
しかしマラリア原虫はすぐに耐性を獲得し薬は次第に効かなくなりました。
その後出てきた「ピリメタミン」も、現在はマラリア治療薬としては使用されていません。
そんな中登場したアルテミシニンは、漢方由来で副作用も少ない治療薬として大きな期待が寄せられました。
発見者である中国の医学者トゥ・ヨウヨウ氏は、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
しかしアルテミシニンも完璧ではなく、東南アジアの原虫の一部は10年以上前から耐性を持っていることが確認されています。
アルテミシニンに耐性を持つ原虫は血液サンプルを採取した6つの地域のうち、100km以上離れた2つの地点で確認されました。
原虫の遺伝子分析は、ルワンダの種が東南アジアのものとは異なる特徴をもっており、突然変異として出現した可能性を示しました。
これはかつてクロロキンやピリメタミンに耐性を持つ種が、海を渡ってアフリカにやってきたのとは対照的です。
研究者は、「アルテミシニンに耐性を持つ原虫は局地的な出現が可能だ」と説明し、ルワンダ全土や近隣諸国への広がりを防ぐには、現在行われているマラリア対策プログラムをさらに強化する必要があると指摘しています。
また耐性をもつ原虫は「公衆衛生上の大きな脅威」であり、アフリカにおけるマラリア治療の成功を危うくする可能性があると警告しています。
研究結果はNature Medicineに掲載されました。

マラリアによる死亡の9割以上がアフリカ地域で起きているそうだ

地球もだんだん暑くなってきてるから被害の拡大が心配だね
References: BBC