イタリアの研究者は、出産後の妊婦の胎盤を調べた結果、複数のマイクロプラスチックが検出されたと報告しています。
マイクロプラスチックは微小なプラスチック片の総称で、自然環境のありとあらゆる場所に存在しています。
家庭から環境中に廃棄されたプラスチックは、川から海に流れ込む過程で分解され、やがて海洋生物に取り込まれていきます。
最近ではエベレストの頂上からもマイクロプラスチックが発見されています。
マイクロプラスチックが胎盤で見つかるのは、世界で初めてのことです。
マイクロプラスチックは胎児の成長に悪影響を与える可能性がある
ローマのファーテベネフラテッリ病院で行われた研究では、健康な妊婦6人が参加しました。
妊婦は出産予定日の4週間前から、日々の食事や体の状態、抗生物質の摂取状況、そしてプラスチック成分を含む製品の使用について事細かに報告しました。
病院の医師や看護師は、出産時にプラスチックの混入を避けるため、綿の手袋やタオル、金属製品などを使用しました。
出産後、胎盤から、母体側、胎児側、羊膜の各部分のサンプルが採取され、ラマン分光法によって分析が行われました。
分析の結果、6人中4人の胎盤から合計12個のマイクロプラスチックが検出されました。
マイクロプラスチックは胎児側に5個、母体側に4個、羊膜に3個で、大きさは5~10マイクロメートルの範囲でした。(1マイクロメートルは0.001ミリ)
検出されたマイクロプラスチックは全て着色されており、3つがポリプロピレン、残りの9つは絆創膏、接着剤、フィンガーペイント、ポリマー、化粧品、パーソナルケア製品などが分解されたものでした。
1ミリ以下のプラスチックが12個という数は、比較的少ない印象がありますが、検査されたサンプルは全体の約4%であり、実際にはさらに多くのプラスチックが胎盤に含まれていた可能性があります。
Environment Internationalに掲載された研究を主導した産婦人科医のアントニオ・ラグーザ氏は、分析結果について、「サイボーグの赤ちゃんを産むようなものであり、それはもはや人間の細胞だけで構成されているのではなく、生物学的実体と無機的実体の混合物である」と述べています。
体内のプラスチックが健康に及ぼす影響についてはまだよくわかっておらず、専門家の間でも意見が分かれています。
WHOはペットボトルに含まれるマイクロプラスチックについて、健康上のリスクは低いとする声明を発表していますが、胎児や赤ちゃんへの影響については信頼できるデータがありません。
研究者は、「胎盤は胎児の発育をサポートする重要な役割を持っており、潜在的に有害なプラスチック粒子の存在は大きな懸念事項である」と述べ、マイクロプラスチックが免疫系に及ぼす影響などについて、さらに研究を行う必要があると強調しています。
マイクロプラスチックは胎児の成長を阻害する可能性があるんだって
現代人の体には既に大量のマイクロプラスチックが蓄積しているのかもしれない……
Reference: The Guardian