今から40年前、世界で最初の気候危機に関する世界会議がジュネーブで開催されました。
それから月日がたち現在の地球環境は、当時の科学者が考えていた以上に悪くなっています。
先日ジュネーブでの気候会議から40年を機に科学者たちが共同で声明を発し、現在進行形で地球を脅かしている気候危機に対し改めてその対策を急ぐよう促しました。
BioScience誌に掲載された声明は、世界各国から11,000人以上の科学者が加わり、現代が既に気候危機の真っただ中にあり、行動をしなければ“予想外の苦しみ”を引き起こすことになると警告しています。
気候変動の問題はここ最近のもののように感じることもありますが、科学者は半世紀近く前からその兆候を見出していました。
しかし今のところ政府の対策はおろか、企業や個人の活動ではもはや気候変動を抑えられる状態にはありません。
地球は長い歴史の中で多くの激変を繰り返しており、現代の気候危機も人類の影響によるものではなく、地球の自然なサイクルの結果だとする考えも根強くあります。
今回の声明に参加したシドニー大学の環境科学者トーマス・ニューサム氏は「科学者には人類にとっての脅威に対し警告する義務がある」と話します。
ニューサム氏は様々なデータから、現代が気候危機に直面していることは明らかだと強調します。
気候変動に対してのそれぞれの立場やイデオロギーを抜きにしても、現代の気候がこれまでとは明らかに異なっていることはほとんどの人が認める事実です。
科学者が気候変動の脅威について警告している中、声明は私たちに改めて地球の環境について考えるよう求めています。
気候危機に対して行動するためにロケット科学者になる必要はない
声明の内容自体はそれほど真新しいものではありません。
一言でいえば、現代の気候は産業革命以降急激な変化を遂げており、それらの及ぼす影響は人類の存続に関わる重大なものになりつつある、ということです。
科学者は「失っている時間はない」と声を揃えます。
それはほとんどの科学者が予想していたよりも速くそして深刻です。気候危機は自然の生態系と人類の運命を脅かしています。
153ヵ国の11,000人以上が参加した気候危機への声明は、人口の増加速度を緩めること、化石燃料の使用を抑えること、森林破壊を阻止すること、そして肉食をやめることなどを推奨しています。
また40年前と比べて4倍近くに上昇した航空旅客数も気候変動に影響していると考えられていて、科学者たちは、裕福な層が過剰な消費を繰り返すことが気候変動の速度を速めている一因であると指摘しています。
40年間の気候変動に関わる指標の推移――人口増加、航空機利用の増加、アマゾンの森林の減少などに注目 Image:BioScience
過剰な消費を前提とした人間の活動は特に、陸地と海の温度の上昇や海面の上昇につながっています。
これらの気象変化は連鎖反応を起こすことで、生態系のみならず社会や経済に重大な混乱を引き起こし、地球の広い地域を人の住めなくなる場所に変えてしまう可能性があります。
気候危機の問題の解決には個人の努力だけでは不十分です。
科学者たちは「政策立案者と一般市民がともに問題の大きさを理解し、また優先順位を調整し、その進捗状況を追跡する必要がある」と述べています。
気候危機は専門的で一般人には手の届かない問題であるかのように感じます。
しかしニューサム氏は「問題に対し人々がロケット科学者である必要はない」と述べ、協力して行動すれば決して手遅れにはならないとして、これからの課題解決に対し期待を寄せています。
科学者が提唱する気候危機に対するアクションは以下の通りです。
気候変動に関してはどこかうさんくさいといった意見や、後ろに利益を得る何者かがいて扇動しているのではないか、といった疑念もよく聞きます。
しかしそれが真実であるかは別にして、現在の気候がかなりの速さで変化してきていることは地球に住む全ての人が身をもって体験していることです。
科学が全てを見通せるわけではありませんが、よくない未来が予測されているのであれば、人類はそれに対し知恵を絞って行動していくことができます。
気候変動は地球で生きていく人類の乗り越えなければならない共通の課題です。
気候危機とか言われてもどうすりゃいいのさ……という声があちこちから聞こえる気がする
あんまり難しく考えなくていいと思うな~
できそうなことからやってみようよ!
References:The Guardian